【ニューヨーク=平田雄介】カナダのトルドー首相は8日、来年2月に開幕する北京冬季五輪に閣僚や政府職員らの外交使節団を派遣しないと述べ、米国、英国、オーストラリアに続き外交ボイコットを表明した。
トルドー氏は中国・新疆ウイグル自治区などを念頭に「中国の度重なる人権侵害に重大な懸念を抱いている」とし、今回の措置は「カナダ政府の(中国)共産主義体制に対する不満を示すものだ」と説明した。
一方で「世界で戦うために鍛錬してきた選手の支援は続ける」と語った。
会見に同席したジョリー外相は「国連や北大西洋条約機構(NATO)の加盟国などとの協議では、この問題を必ず取り上げてきた」とし、英中部リバプールで今月10~12日に開かれる先進7カ国(G7)外相会合で日本などに同調を呼びかける意向を示した。
カナダの対中世論は、2018年12月、中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)幹部がカナダで拘束された直後、中国がカナダ人2人を拘束してから急速に悪化した。カナダ国民の多くは中国の措置を「報復のための恣意(しい)的な拘束」とみなしている。
事態を受けて中国の人権問題への懸念も強まり、カナダ下院は今年2月、ウイグル族ら少数民族への暴力を「ジェノサイド(民族大量虐殺)」とする非難決議を可決した。
北京冬季五輪への対応をめぐっては、カナダの世論調査機関「アンガス・リード研究所」が今月7日発表した世論調査で「何らかの形でのボイコットを支持する」と回答した人が78%に上っていた。