維新と国民民主「第三極」アピール

衆院本会議で代表質問する日本維新の会・馬場伸幸幹事長=9日午後、国会・衆院本会議場(矢島康弘撮影)
衆院本会議で代表質問する日本維新の会・馬場伸幸幹事長=9日午後、国会・衆院本会議場(矢島康弘撮影)

日本維新の会の馬場伸幸共同代表と国民民主党の玉木雄一郎代表が9日、衆院本会議で行われた代表質問に臨んだ。先の衆院選で維新は公示前の11議席から41議席に伸ばし、公明党を抜いて第三党に躍進。国民民主も公示前の8議席から11議席に増やした。両氏は来年夏の参院選でさらに勢力を伸ばそうと、自民党でも立憲民主党でもない「第三極」の立ち位置を前面に打ち出した。

「憲法論議が停滞してきた要因は、オールド野党の執拗(しつよう)な妨害と、『やるやる』と言いながら本気度が疑わしい自民の優柔不断さに尽きる」

馬場氏は代表質問でこう訴え、改憲論議の進展に慎重な立民を突き放すと同時に自民にも矛先を向けた。質問後の記者会見では「(自民の本気度が感じられなければ)自民党本部の正面にかかっている『憲法改正推進本部』の看板を外してこようと思う。気合を入れてほしい」と述べた。

代表質問では国会議員に毎月支給される文書通信交通滞在費(文通費)をめぐり、透明化の議論を主導してきた立場から「改革に臆面もなく背を向ける会派は、国民が汗水流して納めた税金に群がる『シロアリ集団』と言わざるを得ない」と強調。党是の「身を切る改革」をアピールした。

さらに新型コロナウイルス対応の経済対策で政府が18歳以下に実施する現金5万円と、5万円分のクーポンの計10万円相当の給付も問題視。「(コロナワクチンの3回目接種と5~11歳への接種を含めた)4連発で自治体の事務がパンクしかねない」と警鐘を鳴らし、地方自治体の自主性を重んじるべきだと訴えた。

いずれの主張も第三極としての立ち位置を印象付ける狙いが透ける。維新幹部は「政府与党が方針を変えないならば、参院選に向けて維新にプラスに働くだけだ」と淡々と語った。

一方、玉木氏は「対決より解決」「改革中道」を重視する姿勢を鮮明にし、米英豪などが表明した北京冬季五輪の「外交的ボイコット」について岸田文雄首相に「検討すべきだ」と訴えた。

国民民主は衆院選で立民や共産党などが「市民連合」を介して結んだ共通政策の枠組みに加わらずに議席を増やした。9日は衆院憲法審査会の事前打ち合わせの場である与党幹事懇談会に玉木氏が初めて出席。改憲論議の深化に慎重な立民とは一線を画す方針も明確にした。(内藤慎二、大橋拓史)

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