「聖地」でタッグ 中野、杉並、豊島区がサブカル活用

東京都主催イベントに「中野・杉並・豊島アニメ等地域ブランディング事業実行委員会」が出展したブース=7月、千代田区の東京スポーツスクエア(杉並区提供)
東京都主催イベントに「中野・杉並・豊島アニメ等地域ブランディング事業実行委員会」が出展したブース=7月、千代田区の東京スポーツスクエア(杉並区提供)

「オタクの聖地」は秋葉原だけじゃない―。アニメや漫画に関連する施設や企業が集まる中野、杉並、豊島の3区が手を取り合い、サブカルチャーを活用した観光振興に取り組んでいる。3区一体での動画発信やイベントでのブース出展を通じて、自治体の境を越えた一大サブカルエリアとしてのイメージを定着させたい考えだ。

「単独での取り組みでは区外への発信力に限界があるが、サブカルの地域として打ち出すことで、ブランド化を期待できると考えた」

中野区の担当者は連携の狙いをこう説明する。平成29年度に中野と杉並が連携を始め、31年度に豊島が加わって3区と東京商工会議所の各支部でつくる「中野・杉並・豊島アニメ等地域ブランディング事業実行委員会」が発足した。3区は、もともとサブカルになじみが深かった。

例えば杉並区は、アニメ制作会社が全国で一番多く立地しているとされ、その縁で多くのアニメで物語の舞台として描かれてきた。中野区にはサブカルの発信地として有名な商業ビル「中野ブロードウェイ」があり、豊島区には手塚治虫らが住んだアパートを再現した「トキワ荘マンガミュージアム」が立っている。

3区それぞれが持ち合わせている施設などの魅力を掛け合わせて観光客を呼び込むべく、実行委は動画の公開やイベントへのブース出展を通じてPRに取り組んできた。

今年7月には「名探偵コナン」の主人公、工藤新一役を演じる声優の山口勝平さんが、3区のサブカル関連の観光スポットを巡る約30分の動画をユーチューブで公開。中野ブロードウェイで懐かしいソフトビニール製の人形を発見したり、トキワ荘マンガミュージアムで漫画界の巨匠らが若き日に過ごした部屋を眺めたり…と見どころを余すところなく伝えた。

将来的には3区を周遊するスタンプラリーなどの実施案も浮上しているという。杉並区の担当者は「今後も一緒にサブカルの街として盛り上げていければ」と意気込みを語った。

(竹之内秀介)

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