「甘い対応できぬ」「独自の立場」北京五輪で首相難題

米、北京五輪の外交ボイコット正式発表。記者団の質問に答える岸田文雄首相=7日午前、首相官邸(酒巻俊介撮影)
米、北京五輪の外交ボイコット正式発表。記者団の質問に答える岸田文雄首相=7日午前、首相官邸(酒巻俊介撮影)

岸田文雄政権が来年2月の北京冬季五輪に閣僚の派遣を見送る方向で検討に入ったのは、首相が中国政府による新疆ウイグル自治区などでの人権弾圧を深刻にとらえ、中国への毅然とした姿勢を示す狙いがある。ただ「外交的ボイコット」に踏み切る米国と一線を画して政府関係者を派遣すれば、内外の批判も浴びかねない。首相は日中の地政学的な関係も踏まえ独自の立場を模索するが、難しい対応を迫られている。

「国益のためになるように決断したい」

首相は7日、官邸で外交的ボイコットを求める自民党保守系グループ「日本の尊厳と国益を護る会」代表の青山繁晴参院議員らと面会したが、こう述べるにとどめた。

首相はこれまでも中国の人権侵害に厳しい態度で臨んできた。11月に行われたアジア欧州会議(ASEM)では、中国側から慎重な発言を求められたにもかかわらず、ウイグルや香港の人権状況を「強く懸念している」と表明した。

首相は北京五輪への要人派遣をめぐっても、周囲に「甘い対応はできない」と繰り返してきた。首相周辺は「首相は中国に『言うべきことは言う』というスタンスだ」と語る。

一方、日本は中国と地理的に近接し、経済的な依存度も高い。経済界などには関係改善を望む声もある。

自民党の世耕弘成参院幹事長は7日の記者会見で、「中国は『戦略的互恵関係』という言葉で表現されるように極めて重要な2国間関係だ」と指摘した。

英国なども外交的ボイコットを検討しており、今後は米国に追随する動きが広がる可能性もある。首相は「最後は自分で決める」と強調するが、日本が独自の立場として政府関係者を派遣すれば、人権問題に敏感な欧米との差が際立ち、結果的に「甘い対応」との批判にもつながりかねない。(永原慎吾)

日本、北京五輪に閣僚派遣見送り検討


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