超党派5議連、採択働きかけへ 対中決議

中国の人権状況に対する非難決議採択の必要性を唱える自民党の高市早苗政調会長(右端)=8日午前、衆院第2議員会館(奥原慎平撮影)
中国の人権状況に対する非難決議採択の必要性を唱える自民党の高市早苗政調会長(右端)=8日午前、衆院第2議員会館(奥原慎平撮影)

超党派の「日本ウイグル国会議員連盟」など5議連は8日、国会内で合同役員会を開き、新疆ウイグル自治区や香港などでの中国当局による人権侵害行為を非難する国会決議について、臨時国会での採択に向け各党に働きかける方針を確認した。先の通常国会では超党派で決議原案を作成したものの、自民、公明両党の足踏みで採択が見送られた。国際的に中国への批判が高まる中、自公の対応が注目される。

「中国の常軌を逸した人権状況については各国から懸念が表明されている。しっかり決議し、次の段階で(重大な人権侵害に制裁を科すための)『日本版マグニツキー法』に取り組み、世界にメッセージを送っていく」。ウイグル議連会長を務める自民の古屋圭司政調会長代行は8日の会合でこう訴えた。自民の「南モンゴルを支援する議員連盟」会長の高市早苗政調会長も「とにかく早く手続きを進め、国会に提出すべきだ」と強調した。

先の通常国会では、超党派で作成した決議原案を立憲民主党、日本維新の会、国民民主党がそれぞれ了承しており、決議採択に向けた〝障害〟は与党側にあった。

もともと自民保守層には対中非難決議の早期採択を求める声が多い。一方、自民と連立を組む公明は中国共産党と結びつきが強く、対中批判に抑制的とされる。先の通常国会では党内手続きに踏み込まなかった。関係者によると、自民は7月の東京都議選を控え、公明との協力関係に傷がつくことを恐れて、二階俊博幹事長(当時)らが決議原案を了承しなかった。

ただ、バイデン米政権が中国の人権侵害への批判を強めているのを受け、自公に変化の兆しが出ている。岸田文雄首相(自民党総裁)は8日の衆院代表質問で中国の人権問題に関し「米国などと緊密に連携し、声を上げていく」と表明。公明も先の衆院選公約で中国の人権状況への懸念を初めて明記した。

5議連の幹部は近く、衆院各会派に対し、決議採択の実現に向けて連携を呼びかける。これとは別に、古屋氏らは自民の茂木敏充幹事長や公明幹部、決議採択に前向きな共産党幹部に臨時国会での採択を求める方向だ。

一方、5議連は8日、来年2月開幕の北京冬季五輪に政府使節団などの派遣を見送る「外交的ボイコット」を求め、首相に共同声明を提出する方針も決めた。(奥原慎平)

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