京都サンガ12年ぶりJ1昇格、サポータと心一つ

試合後にスタンドのサポーターに駆け寄る京都サンガの選手ら(手前)=5日、亀岡市(鈴木文也撮影)
試合後にスタンドのサポーターに駆け寄る京都サンガの選手ら(手前)=5日、亀岡市(鈴木文也撮影)

12年ぶりのサッカーJ1昇格を決めた京都サンガは5日、ホームのサンガスタジアム by KYOCERA(京都府亀岡市)で、ツエーゲン金沢とリーグ最終戦に臨み、0-0で引き分け、2位で今季を終えた。かつては名選手が在籍し、天皇杯を勝ち取るなど活躍したが、J2転落後は不振続きに。それでも、今季から指揮を執った曺貴裁(チョウキジェ)監督のもと着実に勝ち点を積み重ねてきた。試合終了後、選手らはピッチを一周して約1万人のサポーターと喜びを分かち合った。

京都サンガにとってJ1昇格決定後、初のホーム戦。ボール奪取を目指す前線からの積極的な守備と息の合ったパスワークに、紫に染まったスタンドが揺れた。

サンガは序盤からボールを保持するも、相手の固い守備に苦戦を強いられる。「ゴール前での迫力が息を潜めていた」と曺監督。ハーフタイムに「このメンバーでやる最後の45分だぞ」と檄(げき)を飛ばして臨んだ後半は、サンガらしさを発揮した。3分に曽根田穣(ゆたか)選手がシュートを放つも、キーパーにはじかれ、60分にはコーナーキックをピーター・ウタカ選手が頭でそらし、イスマイラ選手が合わせてゴールネットを揺らすもハンドの判定に。好機を作りながら無得点に終わったが、最後までゴールを狙う姿勢にスタンドから大きな拍手が送られた。

果敢に攻め込むストライカーのピーター・ウタカ選手=5日、亀岡市(鈴木文也撮影)
果敢に攻め込むストライカーのピーター・ウタカ選手=5日、亀岡市(鈴木文也撮影)

試合後には、ピッチにチームが整列。曺監督が「サポーターの応援が勝利に導いてくれた。J1でもさらに熱くたくましく一緒に頑張ろう」と感謝の言葉を述べ、応援歌「紫の勇者たち」をサポーターとともに歌った。

Jリーグに参入した平成6年からのファンだという右京区の船越正巳さん(67)は「苦しいときもあったが手間がかかるほどかわいいもの。来季はJ1王者・川崎に勝利してほしい」と顔をほころばせた。

主将の松田天馬(てんま)選手は「(2位は)納得のいく成績ではなく今季の出来栄えは40点」と振り返り、「来季はもっと成長してサンガ旋風を巻き起こす」と前を見据えた。

曺貴裁監督(52) J1昇格の裏に厚い信頼

「新しい京都サンガの序章を描けた1年となった」

J2最終戦をホームで終えた後、満足そうな笑みをみせた。就任1年目ながら15節から昇格圏内の2位以上を維持。好調の要因は「選手が精神的に力強くなったため」と自ら分析する。


低迷が続き、今季も「序盤はつまらないミスで失点するチームだった」(松田天馬主将)。そうした中で、「どんな状況でも勝ち点3を奪いに行く精神力」を植え付けることを徹底し、チームは4~6月に15戦負けなしを記録した。

湘南の監督時代には、パワーハラスメント行為により公認S級ライセンスを1年間停止される苦い経験も持つ。それでも、故郷の京都でサンガを率いた今季の活躍の背景には、選手からの厚い信頼があった。

「チームに合わせるのではなく自分の良さを出せ」「挑戦するミスには何も文句はいわない」と選手を鼓舞し続けた。「昇格の要因は曺さん。選手の意識が根本から変わった」とゴールキーパーの清水圭介選手は感謝を口にする。

選手に指示する曺貴裁監督=5日、亀岡市
選手に指示する曺貴裁監督=5日、亀岡市

古豪復活に向けチームを率いる闘将は「J1に昇格してもリスクを恐れずに挑戦し続ける。サポーターが熱狂する試合を見せたい」と飛躍を誓った。(鈴木文也)