広島市中区にある原爆ドームが7日、世界遺産登録から25年を迎えた。登録を目指して署名を集めた連合広島や被爆者団体など12団体がドーム前で記念イベントを開き、約80人が原爆犠牲者に黙とうをささげ、献花した。
広島市の松井一実市長は「原爆投下から76年がたち、被爆者の高齢化が進んでいる。歴史の証人としてドームの役割はますます重要だ」とあいさつ。被爆者の李鐘根さん(93)は取材に「ドームは広島を訪れる世界中の人が集まる平和の目印。いつまでも立っていてほしい」と話した。
原爆ドームは1915年完成の西洋建築だったが、45年8月6日朝、米軍が投下した原爆により、壁や屋根の骨組みを残して破壊された。中にいた約30人は即死したとされる。爆心地から約160メートルにあり、被爆当時の名称は「広島県産業奨励館」。戦後は放置され、いつしか原爆ドームと呼ばれるようになった。