主張

ウクライナ情勢 ロシア部隊は国境を去れ

米国のバイデン大統領が7日、ロシアのプーチン大統領とオンライン形式の直接協議に臨む。焦点は、ロシア軍が9万人超の部隊を国境付近に展開させて緊張が高まるウクライナ情勢である。

ホワイトハウスは「国境付近でのロシアの軍事活動に対する懸念と、ウクライナの主権と領土的一体性への支持を改めて伝える」と強調した。

ウクライナもロシア国境付近に部隊を集結させ、非常に危険な状況だ。衝突は回避させなくてはならない。プーチン氏に直接、部隊撤収を迫ってほしい。

プーチン政権は2014年、ウクライナ領のクリミア半島を一方的に併合した。さらに、ウクライナ東部に強い影響力を維持して、自国の勢力圏であるかのように振る舞っている。

だが、クリミア半島は疑いようもなくウクライナ領である。米欧や日本は、「力による現状変更」に他ならないとして、併合を認めていない。

ロシアは併合の認知を得るのに武力を振りかざすだけで、それ以外の手段を持たない。このことが事態をより悪化させている。

ロシア軍は今年3月にも、ウクライナ国境付近に10万人規模の部隊を展開させ、ゼレンスキー政権を威嚇した。同政権がクリミア半島奪回への方針を示し、世界に支援を求めたことが背景にある。

クリミア併合の非を認め、ウクライナに返還しない限り、ロシアは際限なく軍の出動を強いられ、結局は疲弊する。プーチン氏はそう知るべきだ。

米欧や日本にとって、ウクライナへの支援は、クリミア併合への強固な反対と、「力による現状変更」は絶対に認めないという意思表示でもある。

台湾の民主主義は、中国の執拗(しつよう)な武力挑発にさらされている。これと同等の強い関心と危機感を持って事態を注視すべきだ。

米紙は、ロシアが来年早々に、大規模なウクライナ侵攻作戦の実施を計画していると伝えた。最大17万5000人を動員した多正面作戦になると指摘している。

最悪の状況に突き進むことがあってはならない。首脳同士の会談で国境付近から部隊が早々に撤収するよう、強く働きかけてもらいたい。同時に、ロシア軍の侵攻を抑止するための、欧州や日本との連携も極めて重要になる。