産経抄

12月6日

新井満さんほど肩書を付けるのが難しい人はいない。もともとは、電通の敏腕プロデューサーである。自分が手掛ける日本酒のCMに、敬愛する作家、森敦さんを引っ張り出して親しくなった。

 ▼2人で酒を酌み交わしていた時、新井さんがギター片手に森さんの芥川賞受賞作品『月山』の冒頭部分を即興で歌にした。森さんが面白がってとったテープがいつのまにか出回り、レコードになって新井さんは歌手になった。その顚末(てんまつ)をつづったエッセーを「歌になった芥川賞」と題して当時の新聞に寄稿している。

 ▼後に自分の書いた小説が芥川賞を受賞するとは、想像もしなかっただろう。社会現象にまでなった「千の風になって」の英語の原詩は、幼なじみの奥さんの追悼集に載っていた。友人をただ励ましたくてメロディーをつけた曲が、なんとミリオンセラーになる。

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