主張

国勢調査 人口減に政治の責任重い

人口減少に歯止めがかからない。昨年実施された国勢調査(確定値)で日本の総人口は5年前の前回調査に比べ約94万8千人減少した。

高齢化も進み、総人口の3分の1近くを65歳以上が占める。働く世代も減少を続けている。このままでは、多くの現場で人手不足が加速し、社会が回りにくくなる。

これは国難である。手をこまねいていては、日本の国力は衰退に向かうだろう。年齢、男女ごとの分布をみれば、総人口の減少は避けようがない。とりわけ、出産可能な年齢の女性の人口が減る。

大切なのは、この厳しい現実を直視し、それに耐え得る社会への転換など、実効性のある対策を講じていくことだ。

調査では、日本の15歳未満人口の割合は世界で最も低く、65歳以上人口の割合が世界で最も高い水準にあることが分かった。減少を続ける若い世代が、急増する高齢世代を養うことを意味する。

国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」によると、40年後の日本の人口は9千万人を下回り、現在より3割少なくなるとみられる。

大都市圏以外での人口減少が進む中、各自治体が若年層に定住してもらう試みも出てきた。

埼玉県飯能市では、自宅建築費の補助や家庭菜園など土と触れ合える「安心した子育て」をアピールし、令和元年に265人の転入超、コロナ禍の昨年も41人が移住を決めたという。平成26年、民間有識者らの研究機関「日本創成会議」が将来的に存続できなくなる「消滅可能性都市」の一つに名指しし、危機感を持ったためだ。

一部の努力ではなく、こうした取り組みを全国に広げたい。

東京23区唯一の消滅可能性都市である豊島区では、子育て支援の充実を図っている。民間保育施設の誘致に注力し、約270人いた待機児童が昨年度から2年連続ゼロとなるなど、年少人口の増加につなげている。

各自治体の取り組みに比し、動きが鈍いのが政治の世界だ。与野党とも公約に少子化対策を盛り込むが、自民党総裁選や衆院選、立憲民主党代表選を通じ、この国難にどう取り組むのかという議論が十分に行われたとは言い難い。共通するのは危機感の薄さだ。

長期的視点に立ち、政治の責任で対策の道筋を示してほしい。