異論暴論

1月号 好評販売中 国家・国民を守れ 中国の脅威を直視せよ

中国共産党の6中総会に臨む習近平党総書記(国家主席、中央)ら=北京(新華社=共同)
中国共産党の6中総会に臨む習近平党総書記(国家主席、中央)ら=北京(新華社=共同)

「誰が考えても日本の直面する最大の脅威は中国共産党である」と、国家基本問題研究所の櫻井よしこ理事長は説く。しかし岸田文雄首相に、その中国に対峙(たいじ)する自覚と覚悟はあるのだろうか。

外交・安全保障問題に関わってきた元高官らによる「グループ2021」は、岸田首相に「国民をあらゆる脅威から守り抜くための覚悟が必要でその覚悟が本物であってほしい」として、サイバー攻撃や世論工作、社会インフラへの攻撃やエネルギー危機など多様な脅威への備えを進めるべきだと問題提起する。もちろん北朝鮮や中国がミサイル能力を向上させている今、敵基地攻撃能力の保有も当然、考えねばならない。

元内閣官房副長官補の兼原信克氏は、日本政府内での情報の利活用状態はデジタル化の進んだ外国と比べると「石器時代」レベルだと嘆く。その上で、左傾化著しい学術界に頼るのではなく、世界トップクラスの技術を持つ産業界の英知を結集して、日本に量子・サイバーの研究拠点をつくるべきだと提案している。

かつてドイツ帝国も大日本帝国も、成長が頭打ちとなり衰退が見え始めたときに「勝利のチャンスがある間に、敵を打倒すべきだ」とばかりに危ない橋を渡った。そうした歴史を踏まえ、国家基本問題研究所の湯浅博主任研究員は、経済的にも失速しつつある中国が暴発する危険性に警鐘を鳴らす。台湾有事への備えは待ったなしの急務なのだ。

中国への備えを迫られるのは民間企業も同様だ。経済ジャーナリストの井上久男氏は「日本製鉄はなぜトヨタを訴えたのか」で、他のメディアではほとんど触れられていない中国企業への技術流出の闇を描き出す。岸田政権が経済安全保障政策を進める上で、民間側の危機意識も欠かせないことがわかる。(溝上健良)

衆院選振り返り なぜ事前予測は外れたのか

いろんなものが見えてきた衆院選だった。55年体制下では生息できた政治家たちが思わぬ苦杯を嘗(な)め、若い世代の投票行動が注目された。メディアがいくら肩入れしようにも共産党に対する拒絶反応が隠しようがないほどに表出した選挙でもあった。そしてメディアの予測がことごとく外れた選挙でもあった。特集「衆院選振り返り」の選挙アナリスト、久保田正志氏による「自民選対の『やばい』でみんな外した事前予測」を読むと今回の選挙が、久保田氏が関わった「週刊文春」予測も含め、メディアを含め関係者にとって「誤算」の連続だったことがわかる。大阪の「政権交代」で敗れた自民、長尾敬氏(大阪14区)と千葉13区で初当選した松本尚氏の2本の手記には、ちょっとした有権者の変化に敏感に向き合おうとしている「候補者から見た衆院選の実像」が描かれている。

元自民党事務局長、久米晃氏の「自民勝敗のカギ握る保守的な無党派層」と尚美学園大学名誉教授、梅澤昇平氏の「野党共闘の恐ろしさを知れ」は、与野党それぞれの立場からの安定感ある分析だ。このほか東北各地の選挙戦で「風評加害」がみられた実態を福島在住のジャーナリスト、林智裕氏がリポートしている。森喜朗元首相の「勇気が要った福田康夫総理」には軽妙で枯淡な口調ながらも本質を見抜く元宰相の眼力を感じる。(安藤慶太)

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