韓国の竹島上陸に自民対抗策 政府は静観も裏では歓迎

臨時国会の衆院本会議に臨む(左から)林芳正外務相、鈴木俊一財務相、岸田文雄首相=6日午後、衆院本会議場(矢島康弘撮影)
臨時国会の衆院本会議に臨む(左から)林芳正外務相、鈴木俊一財務相、岸田文雄首相=6日午後、衆院本会議場(矢島康弘撮影)

韓国が不法占拠する竹島(島根県隠岐の島町)に韓国警察庁長官が先月16日に上陸したことで、自民党内では対抗措置を検討する動きが出ている。国際司法裁判所(ICJ)への付託も含めた措置を検討する方針だ。政府は表向き自民党内の動きを静観する構えだが、歓迎する声も上がっている。背景には、口頭で抗議を繰り返しても効果が得られていない実情がある。

政府は警察庁長官の竹島上陸に対し、外務省の森健良事務次官や船越健裕アジア大洋州局長らが計8回にわたり韓国側に抗議。先月17日に米ワシントンで開かれた日米韓3カ国の外務次官協議では「何事もなかったかのようにふるまうのは適切ではない」として共同記者会見への出席を拒否した。

だが、韓国側は「韓国政府の立場にいかなる変化もない」としており、日本側の抗議はさしたる効果をあげていない。こうした中で、自民党外交部会長の佐藤正久元外務副大臣が先月24日に開かれた党の会合で「具体的にどういう対抗措置があるのか考えるチームを作りたい」と表明。佐藤氏は記者団にICJ付託も選択肢の一つであることを認めた。

「一つ一つについて政府としてコメントすることは差し控えたい」

林芳正外相は先月26日の記者会見で、自民党の対抗措置検討について、無関心を装った。ICJ付託には基本的に当事者の同意が必要で、政府はこれまで3回にわたり韓国側に提案したが、いずれも拒否されている。

ただ、警察庁長官による竹島上陸は平成21年以来12年ぶり。政府は事前に動きを察知し、水面下で韓国側に自制を求めてきたが、無視された。外務省幹部は自民党の動きについて「それだけ国内の雰囲気が厳しいということは韓国側に伝わる」と歓迎する。別の同省幹部は「党で議論していただき、政府としても話をすることになると思う」と語る。

日韓両国間では、韓国最高裁のいわゆる徴用工判決の問題もくすぶっている。日本政府は請求権問題が「完全かつ最終的に解決された」と明記した昭和40(1965)年の日韓請求権協定に反する国際法違反としており、差し押さえられた日本企業の資産が現金化されれば「深刻な状況を招く」と繰り返し警告している。自民党チームは徴用工問題の対応に関しても検討する方針だ。(杉本康士)