「ザ・フィンランドデザイン展 ― 自然が宿るライフスタイル」開幕

開幕前に内覧会が行われた「ザ・フィンランドデザイン展」=6日、東京都渋谷区(飯田英男撮影)
開幕前に内覧会が行われた「ザ・フィンランドデザイン展」=6日、東京都渋谷区(飯田英男撮影)

時代を超えて愛される名品が生み出されたフィンランドデザインの歩みを約250点の作品と約80点の関係資料で紹介する、「ザ・フィンランドデザイン展 ― 自然が宿るライフスタイル」が7日、東京都渋谷区のBunkamura ザ・ミュージアムで開幕する。展覧会の見どころを、Bunkamura ザ・ミュージアムの菅沼万里絵・学芸員が解説する。

人々の生活と豊かな自然の調和

1917年にロシアから独立したフィンランドは、新しい国づくりの一環としてデザインの発展に力を注いだ。プロダクトの生産ラインが整備され、産業と経済の活性化に繋がっていくのはもちろんだが、この振興策の肝は、こうして普及したプロダクトが使い手目線でデザインされていた点にある。どんなインテリアにもなじみ、他のプロダクトとの組み合わせを妨げないシンプルなフォルム。そして用途を限定せず、必要な時に必要な分だけ買い足し世代を超えて使い続けることができる合理性。つまりこのデザイン強化策は、日々の暮らしに欠かせぬものをより良いクオリティで行き渡らせ、国民の日常生活を最低限整える意味もあった。

カイ・フランクに代表される[作品1]こうした実用的・機能的なプロダクトを根付かせる一方で、アーティストの自由な創作に支援がなされたことも見逃せない。

[作品1]
カイ・フランク《「BAキルタ」カップ&ソーサ―他》1952-1975年、
アラビア製陶所、ヘルシンキ市立博物館蔵、Photo/ Yehia Eweis
[作品1] カイ・フランク《「BAキルタ」カップ&ソーサ―他》1952-1975年、 アラビア製陶所、ヘルシンキ市立博物館蔵、Photo/ Yehia Eweis

とりわけアラビア製陶所では芸術部門を設け、ルート・ブリュック[作品2]など一流の芸術家を全面的にバックアップ。こうして生み出された個性あふれる作品が万博やトリエンナーレで大きくアピールし、フィンランドデザインが国際的知名度を高めるのに大きく貢献した。

[作品2]
ルート・ブリュック《無題(青い雲)》1967年、ヘルシンキ市立美術館、Photo/ Hanna Kukorelli、© KUVASTO, Helsinki & JASPAR, Tokyo, 2021 G2563
[作品2] ルート・ブリュック《無題(青い雲)》1967年、ヘルシンキ市立美術館、 Photo/Hanna Kukorelli、© KUVASTO, Helsinki & JASPAR, Tokyo, 2021 G2563

これらのデザインは、フィンランドの豊かな自然からインスピレーションを受けてかたち作られている。森や湖を想起させる有機的なフォルム[作品3]に、冬の氷のようにきらめくガラス[作品4]。あふれる生命力を素直に表した鮮やかなテキスタイル[作品5]。冬の長さゆえに屋内で過ごす時間の長いこの国では、こうしたデザインを取り入れることで心を明るくしてきた。

[作品3]
アルヴァ・アアルト《キャンチレバーチェア 31(現:42 アームチェア)/パイミオサナトリウム竣工時のオリジナル製品》1931 年、木工家具・建築設備社(トゥルク)、フィンランド・デザイン・ミュージアム蔵、Photo/Rauno Träskelin
[作品3] アルヴァ・アアルト《キャンチレバーチェア 31(現:42 アームチェア)/パイミオサナトリウム竣工時のオリジナル製品》1931 年、木工家具・建築設備社(トゥルク)、フィンランド・デザイン・ミュージアム蔵、Photo/Rauno Träskelin
[作品4]
ナニー・スティル《氷山(プリズム)》1961年、
リーヒマエンラシ社、コレクション・カッコネン蔵、
Photo/ Rauno Träskelin
[作品4] ナニー・スティル《氷山(プリズム)》1961年、 リーヒマエンラシ社、コレクション・カッコネン蔵、 Photo/Rauno Träskelin
[作品5]
マイヤ・イソラ《カンムリカイツブリ》1961 年、マリメッコ社、フィンランド・デザイン・ミュージアム蔵、Photo/Rauno Träskelin
[作品5] マイヤ・イソラ《カンムリカイツブリ》1961 年、マリメッコ社、フィンランド・デザイン・ミュージアム蔵、Photo/Rauno Träskelin

フィンランドデザインとはこのように、人々の生活と自然との調和が大きな特徴といえるが、その象徴的な作品としてアルヴァ・アアルトの《「サヴォイ」花瓶》[作品6]があげられる。建築家であったアアルトは、室内に据える家具やプロダクト、さらに屋内に取り込む外光との調和をも意識し設計を行っていた。日照時間の短い北欧では、自然光を最大限に活かし、人工照明も華美なものより穏やかな間接照明やキャンドルが好まれる。その細やかな変化を映してきらめくこの器は、フィンランドに広がる湖のようにも、ラップランドのオーロラのようにも表情を変える。障子越しの淡い光や、簾を通した木漏れ日のような光が存在する日本で、また違った表情をみせるだろうか。

[作品6]
アルヴァ・アアルト《「サヴォイ」花瓶》1936年、カルフラガラス製作所、コレクション・カッコネン蔵、
Photo/ Rauno Träskelin
[作品6] アルヴァ・アアルト《「サヴォイ」花瓶》1936年、カルフラガラス製作所、コレクション・カッコネン蔵、 Photo/Rauno Träskelin

スペシャル音声コンテンツ

2019年の日本・フィンランド外交関係樹立100周年の際に親善大使を務め、本展ナビゲーターにも就任したminä perhonen(ミナ ペルホネン)デザイナー・皆川明さん。本展では、皆川さんが実際に展覧会を見てフィンランドデザインに馳せた想いをエッセイで綴り、それをJ-WAVEのナビゲーター・クリス智子さんが朗読した「スペシャル音声コンテンツ」をご用意しました。皆川さんとクリスさんが対談したボーナストラックも収録。購入後は本展開催期間中、いつでもどこでも視聴可能なので、ご自宅でもお楽しみいただけます。

<販売価格>370円(税込み) ※収録時間:約28分

※本コンテンツのご利用は、ご来館時にお客様ご自身のスマートフォンとイヤホンを持参し、「33Tab/ミミタブ」のダウンロードが必要です。会場での貸出は行っておりませんので、予めご了承ください。

(左)皆川明さん(右)クリス智子さん、音声コンテンツ収録風景=東京都港区(三尾郁恵撮影)
(左)皆川明さん(右)クリス智子さん、音声コンテンツ収録風景=東京都港区(三尾郁恵撮影)

Bunkamuraからプレゼント

本音声コンテンツをご購入の上、ご入館の方に、皆川明さんが図案を手がけたminä perhonenの缶バッジを1つプレゼント。ご入館時にザ・ミュージアム入口でダウンロード済みのアプリ画面をご提示ください。

※お一人様1回のみ、数量限定、柄は選べません

缶バッジイメージ=提供
缶バッジイメージ=提供


【開催概要】

会期:2021年12⽉7⽇(火)〜2022年1⽉30⽇(⽇)

※1月1日(土・祝) のみ休館

会場:Bunkamura ザ・ミュージアム(東京都渋谷区道玄坂2-24-1)

開館時間:10~18時 (毎週⾦・⼟曜⽇は21時まで)

※⼊館は閉館の30分前まで

入場料:一般1700円、大学・高校生1000円、中学・小学生700円

※未就学児は入館無料、障害者手帳のご提示でご本人様とお付き添いの方1名様は半額。状況により、会期・開館時間等が変更となる可能性がございます。

会期中全ての土日祝および最終週の1月24日(月)〜30日(日)はオンラインによる入場日時予約必要です。

ご来場の際には展覧会サイトにて最新情報をご確認ください。https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/21_Finland/

主催:Bunkamura、産経新聞社、NHK、NHKプロモーション

特別協力:HAM ヘルシンキ市立美術館

後援:フィンランド大使館、J-WAVE

協賛:ホンカ・ジャパン

協力:フィンエアー、フィンエアーカーゴ、フィンランドセンター

企画協力:S2

問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)

〈企画・制作〉産経新聞社事業本部

>展覧会公式HPはこちら

あなたへのおすすめ

産経新聞社のイベント

注目イベントニュース

新着ニュース

ピックアップ

お知らせ

関連リンク