「欠陥ないがしろ」 中国が米国の民主主義を批判する報告書

中国の王毅国務委員兼外相(新華社=共同)
中国の王毅国務委員兼外相(新華社=共同)

【北京=三塚聖平】中国外務省は5日、米国の民主主義を批判する報告書を発表した。金権政治や人種差別といった問題点を列挙し、「長期間、米国は自国の民主主義制度の構造的な欠陥をないがしろにしている」と強調した。バイデン米政権が近く開く「民主主義サミット」を前に、民主主義陣営を主導する米国への対抗を強めている。

1万5千字近くに及ぶ報告書は「米国の民主状況」と題し、米国内の研究などを基に論じている。米国の民主主義制度が「金権政治」に陥り、「民衆の参政権に制約を与えている」と主張。少数のエリート層による統治が進んでいるとしたほか、大統領選の選挙人制度が問題点を抱えているなどと指摘した。

今年1月に起きた連邦議会議事堂襲撃事件や、昨年5月に米ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性が白人警官に首を圧迫されて死亡した事件などを挙げて、「米国は民主主義の優等生ではない」と非難した。

また、アフガニスタンやイラク、シリアでの米国の軍事行動で多くの被害が出たと訴え、「米国が民主主義を無理強いしたことで、多くの国で人道的な災難をもたらした」と批判した。米国の民主主義制度について「特有のものであり、普遍性は備えず、非の打ちどころがないものではまったくない」と強調した。

バイデン政権が今月9、10日にオンライン形式で民主主義サミットを開くのを前に、招待を受けていない中国は米国批判で攻勢を強めている。4日には「中国式民主主義を創造した」とアピールする白書「中国の民主」を発表。米欧に「専制主義」と批判される中、習近平政権は「中国式」を前面に出して対抗している。今回、さらに米国の民主主義の問題点を批判することで、自国の正当性を示す狙いとみられる。

王毅(おう・き)国務委員兼外相は3日、パキスタンのクレシ外相との電話会談でも、民主主義サミットについて「米国の目的は民主主義ではなく覇権にある」と非難し、「民主主義において米国自身は問題が山積している」と指摘している。