熊木徹夫の人生相談

義母の嫌みを受け流したい

イラスト・千葉真
イラスト・千葉真

相談

40代、パート勤務の女性。80代の義母からは、結婚前から無神経な言葉を散々言われてきましたが、受け流し、笑顔で接するように心がけてきました。ところが義母のある言葉に心がぷつりと切れて、もう関わりたくないと思うようになりました。

それは義母が「私もな、息子の嫁が嫌で嫌でしゃあない。でもこればっかりは、しゃあないやろ」と知人に話したんだ、という内容でした。

義母は、私の娘の祝いの席で「女の子はどうでもええ」と言い、私の父の葬儀では、「うちのお父さん(義父)が死んだときのために手順とか、しっかり覚えておきや」と言いました。こうした言葉が度々、胸に蘇(よみがえ)ります。しかし今後も義母と会わないわけにはいきません。どうすれば我慢し、笑顔を保っていた自分に戻れるのでしょうか。

回答

あなたがこれまでに耐え忍んできた義母の言動のあれこれは、相当にひどいものです。結果、堪忍袋の緒が切れたとしても、とがめられるべきものではありません。それゆえ私は、彼女に対し怒りを表現してもいいと考えます。しかし、あなたはそのようにはしたくない、それは何故(なぜ)か。またあなたは、義母の「無神経な言葉」と言い表していますが、果たして彼女は本当に無神経なのでしょうか。そのあたりを探ってみましょう。

このような関係は巷(ちまた)で〝嫁姑問題〟といわれ、ありきたりなものです。でも恐らく、姑に敵愾心(てきがいしん)を燃やすことは、あなたの〝美学〟に反するのでしょう。そのためあなたは、苦痛を与えられても笑顔で受け流す、まるで人格者のような振る舞いを自分に課してきた。そうしているうちに程なく平和裏に収束するなら、それもいいでしょう。しかし、彼女は意に介さず、依然としていろいろな〝本音〟をあなたにぶちまけてくる。これは図らずも漏れ出た本音なのか。恐らくそうではない。あなたの大人の対応に苛立(いらだ)ち、「これ見よがし」に嫌がらせ・憂さ晴らし・挑発をしていると考える方が自然でしょう。あなたを怒らせることができたら、彼女の勝ちということになる。

ではどうすべきか。彼女と争うのが嫌なら、出来(でき)る限り彼女と接点を持たないようにすること、それ以外にないと思います。もし接しても、笑顔でいる必要はない。笑顔でいなくても負けなのではない。苦しくなったら、その感情を夫に共有してもらう、それも叶(かな)わぬなら、嫌なことを書き出してその紙を燃やすのも悪くない。

ただ凜(りん)としたあなたの立ち姿は、きっと他の誰かが見て共鳴してくれるはず。そこに期待を込めましょう。

回答者

熊木徹夫 精神科医。昭和44年生まれ。「あいち熊木クリニック」院長。著書に「自己愛危機サバイバル」「ギャンブル依存症サバイバル」(ともに中外医学社)、「精神科医になる~患者を〈わかる〉ということ~」(中公新書)など。

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