主張

伊方3号再稼働 脱炭素電力で地域活力を

四国電力の伊方原子力発電所3号機(愛媛県伊方町)が再稼働した。令和元年12月に定期検査で停止して以来、約2年ぶりの運転再開だ。

折しも世界中で天然ガスや原油価格が不安定に推移している。この状況下で電気出力89万キロワットの3号機が、電力需要の増す冬季に復活する意義は極めて大きい。地域経済の活性効果も期待される。

伊方3号機の停止期間が、かくも長引いた一因には、停止後のトラブルや7月に判明した緊急時対応の社員による当直中の無断外出という不祥事も影響している。

しかし、最大の原因は他県の住民が求めた運転差し止めの仮処分を広島高裁が令和2年1月に認めたことだ。停止の理由は3号機を合格させた原子力規制委員会の判断の過程に「過誤ないし欠落」があったとするものだった。

この奇矯(ききょう)な決定は、同高裁の別の裁判長によって今年3月に取り消されたが、司法の判断が3号機の運転を実質約1年、不可能にしたことは間違いない。

原発は、温暖化防止の国際ルール「パリ協定」での1・5度目標の達成に不可欠な、運転時に二酸化炭素を排出しない脱炭素電源の主力である。しかも大量の電力の安定供給を得意とする。

国のエネルギー基本計画ではパリ協定との整合を目指し、原子力が2030年度の電源比率で20~22%を担うことになっている。

だが、福島事故後に再稼働した原発は10基にすぎない。伊方3号機は、そのうちの貴重な1基だったのだ。その運転が極端なゼロリスクを求める司法判断に足止めされたことは遺憾である。

資源小国における原子力発電の必要性を国が明確に示してこなかったことが司法の迷走を招いている素因ではないか。他電力の原発でも即時停止に直結する仮処分は経営への脅威となっている。岸田文雄首相にはこの問題点をしっかり認識してもらいたい。

伊方3号機の再稼働の遅れにはテロ対策施設の完成が期限に間に合わなかったことも関係しているが、期限の翌日から原発のリスクが高まるものではない。硬直的な規制は改められるべきだ。

3号機は燃料の一部にプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使う。プルサーマル発電によるプルトニウム消費への貢献にも注目したい。