北京五輪外交ボイコット 政府迫られる「独自判断」

北京冬季五輪の開幕まで2カ月となった4日、「国家ジャンプセンター」で行われたスキージャンプ女子の国際テスト大会=中国河北省張家口(共同)
北京冬季五輪の開幕まで2カ月となった4日、「国家ジャンプセンター」で行われたスキージャンプ女子の国際テスト大会=中国河北省張家口(共同)

来年2月の北京冬季五輪開会まで4日で2カ月となった。中国新疆ウイグル自治区での人権弾圧などに厳しい視線を向ける米国や英国は外交使節団を派遣しない「外交的ボイコット」を検討しているが、日本政府は態度を明かしていない。人権を重視する欧米諸国と、地政学的に無視できない中国とのはざまで「独自の判断」を迫られている。

北京五輪について政府高官は「カードを切るのは早い」と語る。米欧が実際に外交的ボイコットをするのか不透明な上に、新型コロナウイルスを理由に中国が要人の受け入れを拒否する可能性もある。早々に態度を決めて突出するのは避けたいのが本音だ。岸田文雄首相は9月の自民党総裁選で「日本は欧米諸国と地政学的に違う立場にある。独自の判断をしなければならない」と述べている。

北京五輪の成功にメンツをかける中国は欧米への反発を強める。中国外務省の趙立堅(ちょうりつけん)報道官は11月22日の記者会見で「騒ぎ立てても各国のスポーツ選手の利益を害するだけだ」と牽制した。一方、日本は切り崩しの対象になっている。趙氏は同25日、「中国は東京五輪開催を全力で支持した。日本は基本的な信義を持つべきだ」と強調。孔鉉佑(こうげんゆう)駐日大使が自民党議員に接触し、要人派遣に反対しないよう示唆した事実もある。

自民党からは「静観は誤ったメッセージになる」との声が上がる。佐藤正久外交部会長は「首相や外相が行っても中国に利用されるだけ。政治家の出席はなくていい」と話す。政府与党内には、スポーツ庁の室伏広治長官や日本オリンピック委員会の山下泰裕会長らの派遣案が浮上する。

2008年の北京五輪の際は、当時の福田康夫首相が開会式に出席した。チベットをめぐる人権問題で中国が国際的な批判を浴びる中での判断で、取り巻く状況は現在と重なる。1989年の天安門事件後、欧米に先駆けて対中制裁を解除し、当時の天皇陛下の訪中を実現させたのも日本政府だった。過ちだったことは今の中国の人権状況が物語っている。苦い教訓を踏まえれば、岸田首相の選択肢もおのずと絞られる。(石鍋圭)