【いきもの語り】発見率8割「ペット探偵」 遠藤匡王さん

ネコに餌を差し出す遠藤匡王さん(ジャパンロストペットレスキュー提供)

ガサ、ガサ-

やぶから顔を見せたのは、捜し続けていた雄のイヌだった。雌のイヌとじゃれ合う姿を見ながら、「ジャパンロストペットレスキュー」(小平市)代表理事の遠藤匡王(まさたか)さん(45)は胸をなでおろした。

捜索を頼まれたのは、元々は岡山で野犬だった雄で神奈川で飼われていた。情報を聞き回る中で、仲のよかった雌が北海道にいることが判明。雌の飼い主に相談すると、わざわざ神奈川まで連れてきてくれた。

雄の行方が分からなくなった場所に、雌を座らせた。山狩りまでしても見つからなかった雄だったが、1分もしないうちに、やぶの中から雄が姿を現した。

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遠藤さんは平成23年からペット探偵業を始め、現在は13人のスタッフと年間約1千件の捜索を行う。

主な対象はネコやイヌだが、小鳥や小動物の捜索にも当たる。新型コロナウイルス禍でペットを飼育する人が増えるようになってからは、フクロモモンガや齧歯(げっし)類のデグーなど珍しい動物の捜索依頼も増えた。

動物は人のようには容易に行動をたどれず、捜索も難しそうだが、発見率は約8割と高い。依頼者から40項目以上にわたってペットの習性、体調などの情報を聞き取って行動範囲を推定し、特徴に合わせて捜し回るのが定石だ。

例えば、ネコは行動範囲が狭く、室内飼いの場合だと、行方が分からなくなって1週間ほどでも家の50~100メートル圏内にいることが多い。一方でイヌは1週間で10キロ離れた場所にいることも珍しくない。ネコに対しては家の周囲から徐々に捜索範囲を広げ、イヌはもっとも遠い地点から家に近づくように捜索する。

ペットがいなくなる原因として一番多いのは、開け放しの玄関や窓から逃げ出してしまうものだ。最近ではハーネスと呼ばれる散歩時の着具が脱げ、走り去ってしまうケースも増えている。「きちんと固定しないと、後ずさりなど体の向きを変えただけで脱げてしまう」。また、年末年始で注意が必要なのは、帰省先での脱走。家で気を付けていても、動物の扱いに慣れていない親族が放してしまうこともあるという。

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外に出たペットは、つかのまの自由を楽しめるかというと、そうでもない。

「好奇心で外に出て迷子になることが多い。車が通ったり、餌がなかったりしてつらい思いをします」

ペット探偵の仕事について語る遠藤匡王さん=小金井市(内田優作撮影)

見つけても、一気に近づくのは禁物だという。「向こうは怖い思いをして警戒しているし、逃げれば人の足では追いつけない」。最後は捕獲機と呼ばれる専門の道具で保護する。たとえ飼い主が見つけた場合でも、接し方は重要だ。

「逃げたペットは『怒られるかな』と不安を感じている。見つけても知らんぷりし、窓などをそっと開けて戻れるようにするくらいがいいんです」

冒頭の場面で、かつて野犬だった2匹が再会を喜ぶ姿は、遠藤さんを感動させた。「人間は悪い姿も見せるでしょう。動物の純粋でいいところに触れると、やってよかったなと思いますね」としみじみと語った。

(内田優作)

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