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キャスター・タレント、ホラン千秋 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』 少年から学ぶ他者尊重

ホラン千秋さん
ホラン千秋さん

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』ブレイディみかこ著(新潮社・1430円)

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』

著者のブレイディみかこさんと、アイルランド人の配偶者との間に生まれた息子「僕(ぼく)」が、現代社会のさまざまな問題とぶつかりながら成長していく。そんな等身大の少年の姿をつづって大ベストセラーとなったノンフィクションの続編にして完結編。中学生になった少年の日常を追体験するようにして、夢中で読んだ。

英国イングランド南東部にある都市、ブライトン。多様性の縮図そのものといっていい少年の家庭には、いつも議論の種があふれている。家の玄関前に廃棄物入れのコンテナを置いたことから始まった移民との交流。男性でも女性でもない「ノンバイナリー」の教員たちのこと。隣家の引っ越しにみる労働者階級の現実…。

人種、民族、価値観の違いや、経済的な格差を目の当たりにして過ごす思春期の少年の心が丁寧にすくい上げられる。心に残るのは、少年が「自分がこうしたい」と考えるよりも、まず「どうしたら社会が良くなるか」に思いをめぐらしていることだ。そして、大人たちも見過ごしている本質的なことをさらりと指摘する。日本で暮らすじいちゃんに渡した手紙(涙なしには読めない)もそうだし、国語のスピーチのテストの題材にしたホームレスの問題をめぐる会話もそう。他者を常に尊重する姿勢に、学ばされることは多い。

「多様性のある場所は揉(も)めるし、分断も起こるが、それがある現場には補強し合って回っていく強さがある」という一節がある。自分にとっての当たり前が、他者にとっての当たり前ではない。大事なことは、物事の表面だけを見て上っ面の議論を重ねることではなく、「なぜ、そうなのか?」という想像力を働かせることなのだと思う。


『最近、地球が暑くてクマってます。 シロクマが教えてくれた温暖化時代を幸せに生き抜く方法』水野敬也、長沼直樹著、江守正多監修(文響社・1595円)

『最近、地球が暑くてクマってます。 シロクマが教えてくれた温暖化時代を幸せに生き抜く方法』
『最近、地球が暑くてクマってます。 シロクマが教えてくれた温暖化時代を幸せに生き抜く方法』

クマの楽しいダジャレを交えて、地球温暖化問題を易しく分かりやすく教えてくれる本。図表やデータ類も豊富に掲載されている。地球温暖化を防ぐために今、私たちに何ができるのか。読んでいると、一人一人の意識の持ちようや小さな行動が、めぐり巡って大きな変化へとつながっていくことが実感できる。


<ほらん・ちあき>昭和63年、東京都生まれ。青山学院大学英米文学科卒。TBS系報道番組「Nスタ」、NHK総合「SONGS OF TOKYO」などに出演中。