米国で人種差別に関する概念をめぐり新たな論争が起きている。「人種差別の根源は社会の仕組みや法律などに組み込まれている」と考える「批判的人種理論(Critical Race Theory)」と呼ばれるもので、初中等教育で教えることに反対する共和党を中心とした保守派が複数の州で禁止の立法化などを推進。来年の中間選挙で争点となる可能性もある。
頭文字を取って「CRT」と呼ばれる批判的人種理論は、1970~80年代に成立し、大学や大学院の法学で議論されてきた。ハーバード大法科大学院で黒人で初めて終身在職権を得た故デリック・ベル教授が提唱者の一人とされる。
中心的な考えは「人種差別は米国の制度に浸透しており、社会における白人の優位性を維持するよう働いている」というもの。保守派は、人種間対立をあおり米国建国の基本理念に反すると考える。