在宅勤務を広げるかはこれから どうなる働き方改革

緊急事態宣言が解除された直後の10月1日朝、雨の中を通勤する人たち=JR東京駅前(酒巻俊介撮影)
緊急事態宣言が解除された直後の10月1日朝、雨の中を通勤する人たち=JR東京駅前(酒巻俊介撮影)

新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」への警戒感が高まっているが、現時点では在宅勤務の比率を高めることを決めていない企業が目立つ。在宅勤務に対しては「生産性が落ちた」と後ろ向きな声があるほか、経団連は11月まとめた提言で、感染者が再び増えても出勤者の削減目標は必要ないとの考えを示した。在宅勤務の真の目的である「働き方改革」を後退させない視点が企業には求められる。

「致死率や感染力が強まるなど問題があれば対応せざるをえないが今は政府などの動きを注視している」

こう話すのはダスキンの担当者だ。同社は9月末で緊急事態宣言が解除されたことに伴い、3割に制限していた出社率の目標を5割に引き上げた。現状、目標変更は考えていない。

リクルートは宣言中、原則全員を在宅勤務としていたが解除後は部署ごとの出社率を最大50%とするルールで運用。現時点で行動制限の厳格化などは行っていない。テレワーク定着で実際の出社率は2割程度に抑えられている。

大幸薬品も宣言中は原則在宅勤務としたが、解除後、「出社率5割」のローテーション勤務を継続。ウェブ会議を活用し、会食は禁止とせず3密(密閉・密集・密接)を避けるよう呼びかけている。

パナソニックは東京、大阪などの拠点で働く従業員の在宅勤務を基本とする。大和ハウス工業は宣言解除後も東京、大阪の本社でテレワーク率7割、その他の事業所も5割としており、現時点で対応を変えていない。担当者は「通勤時間を自己研鑽(けんさん)にあてた方が業務パフォーマンスが上がり、子育てなどにもプラスだ」と話す。

ただ、在宅勤務に関しては「コミュニケーションが取りづらかったり、生産性が落ちたりするケースがある」(メーカーの担当者)との批判がある。

経団連は、感染者が再び増大しても人流抑制を目的とした出勤者数の削減目標は必要ないと提言した。ワクチン接種が進み、重症者が前のように増えないことが想定されるためとする。

ただ、「出社制限の緩和は過度の出社の強要につながるでのはないか」といった懸念を指摘する声がある。経団連の十倉雅和会長も「(テレワークは)働き方改革の一つとして続けるべきだ」とするが、企業は改革を続ける努力が求められる。