ラオス中国鉄道開業「債務のわな」の恐れ GDP3割超の巨大事業

3日、「ラオス中国鉄道」の開通式にオンラインで出席した中国の習近平国家主席(右上)とラオスのトンルン国家主席(共同)
3日、「ラオス中国鉄道」の開通式にオンラインで出席した中国の習近平国家主席(右上)とラオスのトンルン国家主席(共同)

【シンガポール=森浩、北京=三塚聖平】東南アジアの内陸国ラオスで3日、中国の支援で建設が進んでいた「ラオス中国鉄道」が開業した。ラオスにとって初の本格的な鉄道で、事業費は国内総生産(GDP)の3割に上る。ラオスの負担は重く、債務返済に苦慮した結果、建設したインフラを中国に明け渡す「債務のわな」に陥る危険性がある。

鉄道はラオスの首都ビエンチャンから中国国境に近い北部ボーテンまで約410キロの距離を結ぶ。国境で中国雲南省昆明までを結ぶ路線と接続され、両国の移動が容易となる。旅客と貨物両方の列車が走る予定だが、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、旅客の移動は当面、双方の国内に限定される見通しだ。

中国は鉄道を東南アジアにおける巨大経済圏構想「一帯一路」の重要事業と位置付けており、将来的にタイやマレーシア、シンガポールにまで延伸させたい考えだ。中国の習近平国家主席は3日、ラオスのトンルン国家主席とオンライン形式で行われた開通式典に出席。「中国はラオスと戦略的な意思疎通を強化する」と述べた。

東南アジア唯一の内陸国で経済発展が遅れるラオスが鉄道に寄せる期待は大きい。地元商工会議所幹部は「ラオスは鉄道によって地域の陸路のハブになる」と話し、経済効果に期待を寄せた。

ただ、総事業費は約59億ドル(約6700億円)で、約6割が中国政府系金融機関からの借り入れだ。目立った産業のないラオスでどれほど鉄道への需要があるか未知数で、採算性には疑問符が付く。米外交専門誌ディプロマット(電子版)は「すぐ利益を出し始めなければ、ラオスは手に負えないほどの負債を抱える」と警告した。