総務省は3日、情報通信分野の外資規制の在り方を議論する有識者会議を開き、放送法や電波法の外資規制の見直し案を提示し、人工衛星の運用などを担う宇宙関連企業に課している外資規制について撤廃しない方針を正式に表明した。また、放送事業者に外資比率の定期的な報告を求める制度を導入。比率に変更があった場合、その都度報告を要求することとし、監視を強化する。
宇宙産業は災害や交通渋滞の予測、農業への応用などさまざまな分野への展開が想定され大きな成長が見込まれる。令和2年6月に改定した宇宙基本計画では「我が国の宇宙利用産業も含めた宇宙産業の規模(約1・2兆円)を2030年代早期に倍増することを目指す」としている。
宇宙産業は参入企業に経営規模が小さいベンチャーも多い。海外からの資金調達を封じられると事業拡大の妨げとなるという指摘もある。3日の会合でも「宇宙産業育成のため資本算入の余地を広げることも必要」との意見もあり、議論の継続を求める声も出た。
そのため、取りまとめ案では、宇宙関連企業への外資規制について「慎重に検討することが適当」との文言が盛り込まれた。
一方、放送事業者の外資規制については、外資が上限比率を超えた際の猶予措置を導入し軽微な違反で事業認定が取り消されるような混乱を防ぐ。さらに、外国人の出資状況に関する報告義務を強化し、比率に変更があった場合はその都度報告を要求するとした。
その他、管制とやりとりする航空無線に課している外資規制を撤廃。地域密着のラジオを流すコミュニティー放送局に課していた外資規制についても一部緩和した。総務省はこうした規制の見直しを盛り込んだ関連法の改正案を来年の通常国会に提出する。