原点回帰のシェークスピア「夏の夜の夢」 演出の山本一慶「見た人を笑顔に」

演出の山本一慶は「役者としてハーミアを演じたことがあり、その経験も糧になっている」と話す(提供写真)
演出の山本一慶は「役者としてハーミアを演じたことがあり、その経験も糧になっている」と話す(提供写真)

シェークスピアの恋愛コメディー「夏の夜の夢」が18、19日に名古屋市芸術創造センター(東区)で、22~26日に東京芸術劇場シアターイースト(東京都豊島区)で上演される。妖精のいたずらによる一夜の恋愛騒動を描いた作品で、出演者は全員男性。今作で初めて演出を手がける山本一慶(いっけい)は「見た人がほっこりする、自然と笑顔になる舞台にしたい」と話す。

貴族の娘ハーミア(澤田雅也)は、幼なじみ(安井一真)が片想いする父が決めた結婚相手(和合真一)を嫌がり、恋人(松本幸大=こうた)と、森へ駆け落ちする。一方、その森では妖精の王(八神蓮)と女王(KIMERU)がけんか中。王はいたずら好きの妖精(谷水力)にほれ薬を渡し、女王に使えと命じるが…。

これまでアニメや漫画、ゲームを原作とする2・5次元ミュージカルなど俳優としては多くの舞台に出演してきたが、演出家としては初めての作品。「あえて奇をてらうことなく、シェークスピアが生きていた当時の状況を考え、それを忠実にやりたい」と話す。当時の劇団は男性だけで構成されていた。今回の出演者は全員男性なので、ある意味では原点回帰というわけだ。

「出演する俳優の気持ちが分かる」ことを演出での武器にする。短時間の稽古で出演者の能力を引き出すことを心掛けており、「僕も俳優なので、言葉を介さなくても、彼らの顔色を見て、戸惑っていることや試してみたいことが、何となく察せられる」と笑う。

作中で印象深いのは「妖精界の王と女王2人がけんかばかりしているから、今、世界がこんなになっている」というセリフ。作品が書かれた1594年ごろのイギリスを襲った異常気象を指しているというが、「コロナ禍で混乱する現代にも当てはまる言葉だと思う」と話す。

物語はトラブルにつぐトラブル。それでも最後は、人間も妖精も、全てのいさかいが収まり、大団円を迎える。「これは希望の物語。400年前の観客と同じように、不安な時代を生きる私たちですが、少しでも、見た人が笑顔になってくれれば」とはにかんだ。

問い合わせはアーティストジャパン、03・6820・3500。