「日本政府は積極関与を」 先月ミャンマー訪問の日本財団・笹川会長

ミャンマー情勢についてインタビューに応じる日本財団の笹川陽平会長=2日、東京・赤坂の日本財団(酒巻俊介撮影)
ミャンマー情勢についてインタビューに応じる日本財団の笹川陽平会長=2日、東京・赤坂の日本財団(酒巻俊介撮影)

国軍がクーデターで実権を握ったミャンマーを11月中旬に訪れ、ミンアウンフライン国軍総司令官らと会談した日本財団の笹川陽平会長が2日、都内で産経新聞の取材に応じた。国軍と民主派による対立激化で犠牲者も膨らむ中、国際人権問題担当の首相補佐官を新設した日本政府に対し、「人権外交を重視するといいながらも、(情勢安定化に向けた)支援策が見えない」と述べ、積極的な関与を訴えた。

笹川氏は長年、ミャンマー支援に携わり、国軍やアウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)などと幅広い関係を持つ。現在はミャンマー国民和解担当日本政府代表を務める。訪問は2月のクーデター後初めてで、「人道支援する個人の立場」として渡航した。

ミンアウンフライン氏とは2度会談し、政治情勢の意見交換を行ったが、内容は「明かせない」とした。実刑判決を受けた英字誌の米国人編集幹部が11月15日に解放された件では、「米政府の要請」を受け国軍に働きかけたことを認めた。

NLD幹部とも面会し、汚職防止法違反など10件以上の罪で訴追・拘束中のスーチー氏について「健康状態は良好で、自宅のような場所で敬意を持った扱いを受けている」と伝えられたという。

国際社会は国軍による市民弾圧を懸念している。笹川氏はクーデター後、国軍側に何度も電話し、「抗議デモには銃を使わず、軍ではなく、警察で対応すべきだ」と訴えてきたという。だが、武力弾圧で1000人以上の死者が出ていることに「非常に残念」と話し、今後も「自制」を求めていく意向を示した。

日本政府の対応については、笹川氏は「現状、何もしていないに等しい」との見解を示し、最大規模の経済援助国として期待されながらも影響力を行使できていないと疑問視。国軍と武装抵抗する民主派の対立で治安が悪化する中、「口だけではなく、(情勢安定化に向けた)ロードマップを出すべきだ」と訴えた。

一方、「政情と人道支援は分けるべきだ」とし、日本財団として近く新型コロナワクチン100万回分の提供などを行う考えも表明した。(桑村朋)