国交省勇み足 邦人帰国混乱 首相、早期収拾図る

斉藤国交相
斉藤国交相

新型コロナウイルスの「オミクロン株」拡大を受けた水際対策として、国土交通省が国際線の新規予約の停止を要請し、邦人帰国をめぐる混乱が生じたことについて、岸田文雄首相は要請を撤回させるなど事態の早期収拾にあたった。首相は「最悪を想定した危機管理」を信条に、矢継ぎ早に水際対策を強化してきた。感染防止を徹底しつつ、経済社会活動を維持するバランスをいかにとるか、今後も試行錯誤が続きそうだ。

「見直すべきものは見直すように。ただ(1日当たりの入国者数3500人の)大枠は堅持してほしい」

首相は1日夜、国交省の新規予約停止要請で帰国を希望する邦人や家族に混乱が広がっているとの報告を事務方から受け、こう指示した。2日朝には記者団の前で陳謝したうえで、邦人の帰国に適切に対応する考えを強調した。

政府内では、今回の混乱は国交省の〝勇み足〟との見方が強い。

国交省が航空会社に国際線の新規予約停止を要請したのは、政府が水際対策強化の一環で日本人を含む1日の入国者数を3500人に引き下げたためだ。だが、海外の日本人駐在員や出張者らが帰国できなくなるという大きな政策決定にかかわらず、官邸側に正確に伝わっていなかった。

国交省の航空会社への要請は11月29日だったが、官邸と正式に情報共有したのは1日午後だった。政府関係者は「(国交省としては)新規予約を停止しなければ5千~6千人も殺到する可能性があり、『とにかく予約を止めなければ』と考えたのだろう」と指摘する。

オミクロン株の拡大を受けた対応は、岸田政権が10月に発足して初めての本格的な危機管理で、首相は「やりすぎるほどやっても責任は自分が取る」とげきを飛ばしている。今回の国交省の一連の対応は、こうした首相の意向を受け、前のめりとなった部分もありそうだ。首相周辺は「水際対策を緩めるべき局面ではないが、混乱は回避しなければならない」と強調した。(永原慎吾)

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