不動産会社「フジ住宅」(大阪府岸和田市)のパート従業員の在日韓国人女性(50代)が、差別表現のある記事を含む政治的内容の文書資料を継続配布され精神的苦痛を受けたとして、会社側に損害賠償の支払いなどを求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は11月18日、一部の性格の文書資料について配布の差し止めを命じた。同社の配布文書資料には本紙記事をはじめ公刊物が多く、「表現の自由」ともかかわる。それだけに、配布差し止めの内容には詳細な検討も求められるが、判決を報じた新聞やテレビではほとんど紹介されず、「配布禁止された文書」のイメージのひとり歩きが懸念される。
「原告への差別」でなく配慮義務に違反
1審の大阪地裁堺支部判決では、社員教育の一環として配布された文書資料類を、「中国・韓国・北朝鮮との外交問題(竹島、尖閣諸島の領土問題)や、従軍慰安婦・南京事件の歴史認識問題…などを主題として、中韓北朝鮮の国家や政府関係者を強く批判したり、在日を含む中韓北朝鮮の国籍や民族的出自を有する者に対して『死ねよ』『噓つき』『卑劣』『野生動物』などと激しい人格攻撃の文言を用いて侮辱したり、日教組や朝日新聞社、親中親韓派の議員・評論家に対して『反日』『売国奴』などの文言で侮辱したり、わが国の国籍や民族的出自を有する者を賛美して中韓北朝鮮に対する優越性を述べたりするなどの政治的な意見や論評の表明を主とするもの」と総括的に評価。