脱炭素へ巨額「グリーン投資」 企業の計画相次ぐ

脱炭素化の関連で、巨額の投資計画を打ち出す企業が相次いでいる。背景には水素や電気自動車(EV)といった有望分野のビジネス拡大に加えて、自社の二酸化炭素(CO2)排出を減らす狙いがある。こうした「グリーン投資」は、イノベーションの創出や国内総生産(GDP)の押し上げを含め、さまざまな好影響をもたらすと期待されている。

脱炭素化の関連投資で目立つのは、対外的なビジネス拡大をにらんだ投資だ。三菱商事は10月中旬、令和12(2030)年度までに2兆円を投じると発表。収益拡大が見込める再生可能エネルギーや水素・アンモニア関連などを重点分野と位置づけ、資金を積極投入する方針だ。11月29日には日産自動車が電動車の開発を加速するため、今後5年間で2兆円を投入すると発表している。

自社の温暖化対策に振り向ける動きも目立つ。三井不動産は、12年度の温暖化ガス排出量を元年度比で4割減らす方針。このため1千億円超を投じ、自前の再生エネ発電所建設や保有物件の省エネ対策に充てるという。三菱ケミカルホールディングス(HD)は12年までに約1千億円を投じ、「クリーンな燃料への転換などに役立てたい」と話す。

投資拡大の効果は既に表れ始めている。日本政策投資銀行が資本金10億円以上の企業を対象に実施した調査によると、3年度の全産業の国内における設備投資額は、前年度比で12・6%増と大幅に持ち直す見通し。新型コロナウイルス禍で見送られていた投資の再開に加えて、EVをはじめとする脱炭素化の関連投資が増えるためという。

各社が投資を増やしているのは、各国政府がカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)実現に向け、政策や規制を強化しているのに対応するためだ。また新たな事業機会を獲得したり、CO2排出削減に対する投資家や取引先の要求に応えたりすることも動機とみられる。

一方、逆に投資が負担となって事業活動を縛る可能性も否めない。鉄鋼業界の場合、CO2排出を大幅に減らすには水素を使う製鉄法の導入が不可欠だが、日本製鉄は研究開発に5千億円、設備の実用化に4兆~5兆円が必要とみている。資金確保も重要な課題で、12年までに脱炭素化で約7千億円の投資を計画する東京ガスは、株主還元を減らすことで年間数十億円を捻出する考えだ。(井田通人)

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