愛子さまご成年 両陛下のご姿勢間近で 平和への思い受け継がれ

戦後70年に開催された企画展「伝えたい あの日、あの時の記憶」を見学される天皇、皇后両陛下と長女の敬宮愛子さま=平成27年8月、東京都千代田区の日比谷図書文化館
戦後70年に開催された企画展「伝えたい あの日、あの時の記憶」を見学される天皇、皇后両陛下と長女の敬宮愛子さま=平成27年8月、東京都千代田区の日比谷図書文化館

1日に成年となられた天皇、皇后両陛下の長女、敬宮(としのみや)愛子さまは、先の大戦を経験された上皇さまから、天皇陛下へと受け継がれた平和への思いを受けとめ、ご自身でも考えを深められている。「平和の在り方という大きな問題を、身近にとらえられている」。思いの一端に触れた関係者は、そう感じている。(橋本昌宗、緒方優子)

じっと耳傾けられ

「これも義手なんですね」

愛子さまは学習院女子中等科2年の平成27年夏、両陛下に伴われ、戦後70年の節目に都内で行われた2つの企画展で、戦争関連の展示を初めてご見学。学芸員に質問をしたり、戦没者遺族から直接、体験を聞かれたりする場面もあった。いずれも、陛下の「戦争を体験した世代から戦争を知らない世代に、悲惨な体験や日本がたどった歴史が正しく伝えられていくことが大切」(同年の記者会見)との強いお気持ちで実現したものだったという。

春成幸男さん
春成幸男さん

「上皇さまは昭和天皇をふまえて象徴、戦争とは何かを考え、陛下は上皇さまの話を身近に聞きながら育ってこられた。そして陛下は愛子さまに、それを伝えようとされていたのではないか」。ご一家との懇談で、空襲で家族7人を失った体験を伝えた春成幸男(はるなり・ゆきお)さん(96)は、そんな印象を抱いた。白いジャケット、紺のスカートに身を包んだ愛子さまは両陛下のそばで、じっと春成さんの話を聞かれていたという。「思いを受け止めていただいていると感じ、安心しました」

自分の周りから

「機会があれば、読んでください」

両陛下は昨年8月、原爆投下から75年の節目に広島、長崎を訪れた国連軍縮担当上級代表(事務次長)の中満(なかみつ)泉さん(58)をお住まいに招いて懇談した際、愛子さまが中等科卒業時、修学旅行で訪れた広島についてつづられた作文のコピーを渡された。懇談では、愛子さまと同世代の娘を持つ中満さんとの間で、戦争の記憶の次世代への「継承」が話題に上っていたという。

国連軍縮担当上級代表(事務次長)の中満泉さん
国連軍縮担当上級代表(事務次長)の中満泉さん

《日常の生活の一つひとつ、他の人からの親切一つひとつに感謝し、他の人を思いやるところから「平和」は始まる》《「平和」は、人任せにするのではなく、一人ひとりの思いや責任ある行動で築きあげていくもの》

「世界の平和を願って」と題された作文のこの部分に、中満さんは「私が日本の若い人たちに伝えたい、と思っていたメッセージと全く同じ」と強い共感を覚えたという。「難しく考えがちな平和や核兵器の問題について、まず自分の身の周りで起きていることに心を寄せ、そこから積み上げていくのが本当の意味の平和の作り方。それを、中学生のうちから考えられていた」と中満さん。「ご家族の中で日常的にこうした問題について話し合い、ご自身でも深く考え、追究されているのではないか」と感じたという。

《今でも世界の各地で紛争に苦しむ人々が大勢いる》《唯一の被爆国に生まれた私たち日本人は、自分の目で見て、感じたことを世界に広く発信していく必要があると思う》

愛子さまは両陛下から平和への思いとともに、国際的な視座も受け継がれている。「才能や問題意識を生かし、いろいろなことに挑戦していただきたい。それは、国民にも感動を与えることになるのではないでしょうか」。成年となられる愛子さまの今後に、中満さんはそう、期待を込める。

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