風を読む

あれはUFOだったのか 論説副委員長・長谷川秀行

米海軍が撮影した「謎の空中現象」とされる映像の一こま(米国防総省提供)
米海軍が撮影した「謎の空中現象」とされる映像の一こま(米国防総省提供)

担当の経済分野とは全く関係がない。新型コロナウイルス禍とも無縁だ。それでも気になるニュースはある。未確認飛行物体(UFO)をめぐる米政府の動きもそうだ。26日付国際面に「UFO調査グループ新設」という米国防総省の話があった。UFOの探知・識別などを行うのだという。

国防総省は昨年、謎の空中現象としてUFOのような物体を記録した3つの映像を公開した。国家情報長官室による今年6月の報告書では、調査した144件の未確認空中現象のうち143件の正体には確たる結論を出せなかった。どうやら米政府はUFO現象を大まじめに調べているようなのだ。

筆者はSFマニアではなく、オカルトにも興味はない。むしろ不可解な現象でも科学的に調べれば説明がつくと信じている。それなのにUFO関連のニュースが気になるのには理由がある。正気を疑われてはいけないので当欄だけの話にとどめたいが、筆者はこの目でUFOらしきものを見たことがある。酔っぱらっていたわけでも寝ぼけていたわけでもない。

30年以上前の新人時代、千葉総局での話だ。ある夜、読者からの電話でUFOが飛んでいるという情報提供があった。でたらめだろうと思いつつも先輩記者に声をかけ、一緒に総局の入ったビルの非常階段から空を見上げた。

すると、飛んでいた。いや、浮いているように見えた。記憶はおぼろげだが、楕円(だえん)のような形でいくつもの小さな光が点滅していたと思う。気づくと、水平に動いていた。慌ててカメラを取りに行くが、戻るといなくなっていた。

社内で話しても与太(よた)話で片付けられる。せいぜい酒席のネタにしかならない。それでもいまだに思うのだ。やはりあれはUFOだったのではないか、と。

UFO現象といっても自然現象やドローンなどの見間違いもあろう。どこかの政府が秘密裏に開発したという陰謀論まである。宇宙人かどうかはともかく、正体が分からないのは気持ち悪い。

日本では昨年、当時の河野太郎防衛相が自衛隊に対し、UFO遭遇時には写真などで記録して分析するよう指示した。安全保障環境が厳しさを増す中で「UFO現象にも万全の対応を」と訴えたいわけではない。ただ、米政府の動きをみるにつけ、これを不要不急といえなくなる可能性もゼロではないと頭の片隅で思うのである。