特別展・貝殻旅行-三岸好太郎・節子展- 作品解説㊥ 形と形、色と色 生まれる美しさ

三岸好太郎《雲の上を飛ぶ蝶》1934年 油彩、キャンバス 東京国立近代美術館蔵
三岸好太郎《雲の上を飛ぶ蝶》1934年 油彩、キャンバス 東京国立近代美術館蔵

すがすがしい青い空とふかふかとした雲が層をなし、色とりどりの蝶がひらひらと舞う。好太郎は本作を描き、その年の7月1日、病のため31歳で急逝した。

彼は30歳を過ぎれば死ぬという自己暗示にとりつかれていたが、それは現実となった。

画業の初期に「何物の説明でもない、単に形と形と並び合ひ、色と色とが隣り合ふ事に依つて生れる」美しさを描きたいと語っていた好太郎は、次々と作風を変化させ、ここにたどりついた。西欧の精神を生かしつつ東洋の精神における求心的な静寂美を生み出し、単なるロマンチシズムではなく「視覚詩」として新しい表現を追求した好太郎の、最終章における絵画世界がひらけている。(神戸市立小磯記念美術館 学芸員 辻智美)

「貝殻旅行―三岸好太郎・節子展―」は、神戸市立小磯記念美術館(神戸市東灘区)で、2021年11月20日(土)~2022年2月13日(日)に開催

>展覧会の詳細(神戸市立小磯記念美術館)