主張

日大理事長逮捕 学内の正常化に大ナタを

全国最多7万人超の学生が在籍するマンモス大学、日本大学の理事長が所得税法違反の容疑で逮捕された。

これまでも学び舎(や)のトップにあるまじき疑惑や不祥事が数多く伝えられながら、常軌を逸した超ワンマン体制は維持されてきた。逮捕を機に、学内の正常化に向けて大ナタをふるってほしい。

東京地検特捜部は、所得税約5300万円を脱税したとして、所得税法違反の疑いで日大理事長の田中英寿容疑者を逮捕した。

背任罪で起訴された日大元理事の井ノ口忠男被告や医療法人「錦秀会」前理事長、籔本雅巳被告は、田中容疑者に数千万円を提供したと供述していた。田中容疑者の自宅からは約2億円の現金も見つかっている。

特捜部は当初、田中容疑者についても背任事件での立件を視野に入れていたとされるが、アマチュア相撲界のドンとも呼ばれる田中容疑者の「ごっつぁん体質」「どんぶり勘定」が明確な証拠を残さず、犯意の認識も欠いたことが捜査の壁になったもようだ。

そもそもそうした人物が長年、大学のトップであり続けたことがおかしい。

田中容疑者は日大相撲部の出身で学生横綱、アマチュア横綱のタイトルを総なめにし、相撲部監督として多くの力士を大相撲に送り込んだ。国際相撲連盟会長や日本オリンピック委員会(JOC)副会長なども歴任した。

一方で日大理事時代には工事関連業者との癒着や暴力団幹部との交際が報じられ、大学の調査委員会も中間報告書で「極めて濃厚な疑いが残る」と記したが、田中容疑者の理事長就任後に中間報告は全面的に否定された。

同大アメリカンフットボール部員の危険タックル事件でも理事長側近の監督が主導し、OBの井ノ口被告が強圧的な隠蔽(いんぺい)工作を行ったことが明らかになったが、田中容疑者が公式の場で見解を述べる場面はなかった。井ノ口、籔本両被告の逮捕時も同様だった。およそ大学トップとしての自覚があるとは認められない。

日大をめぐる不名誉な疑惑の中心には常に田中容疑者の名があった。反対勢力がことごとく遠ざけられ、日大に自浄能力が残っていないなら、文部科学省が乗り込み、マンモス大学の正常化を主導するのもやむを得ない。