国勢調査 人口減で地方ため息 大阪都心部は増加も

年々過疎化が進む奈良県野迫川村の集落
年々過疎化が進む奈良県野迫川村の集落

30日に確定値が公表された令和2年国勢調査で、前回調査から総人口は減少、高齢化率も28・6%と過去最高となった。過疎自治体では人口減を止めようと懸命になる一方で、都心部では人口増となるケースもある。

奈良県南部に位置し、人口減少率が全国2位だった奈良県野迫川(のせがわ)村では、昭和30年代には3千人を超えていた村の人口が、現在348人(10月31日現在)にまで減少。基幹産業の林業の衰退が主な原因とされるが、高齢化率は51・72%と高く、19歳以下の人口はわずか24人だ。

村に高校はなく、中学を卒業後は車で1時間以上かかる隣接市の高校に通うことになり、このタイミングで家族ごと村を離れるケースも多い。新たな産業育成の動きはあるが、大きな雇用を生み出すにはハードルが高く、若者のUターンや移住者のIターンはほとんどないのが現状だ。

村産業課の担当者は「若年層の定住促進策を進めており、人口減少を少しでも抑制したいが…」と話す。

奈良県南部東部振興課の担当者は「新型コロナウイルスの影響で郊外の空き家の問い合わせが増えるなど移住の機運は高まっている。野迫川村のように鉄道駅まで車で約1時間かかるような山間部は不利だが、村ならではの魅力を発信し、人口減に歯止めをかけたい」とする。

一方で、都心部では人口が増加しているケースも。平成26年、有識者らでつくる「日本創成会議」は、2040(令和22)年に若年女性が半分以下に減る「消滅可能性都市」を提示。その一つが大阪市中央区だが、国勢調査を基に市が推計した統計によると、平成26年11月に約8万9千人だった人口は7年後の今年11月時点で約10万7千人まで増えた。

「もともと交通の利便性が高い都心部に、人気の高層マンションなどの開発が続いたからではないか」。日本総合研究所の若林厚仁(あつひと)・関西経済研究センター長が分析する。

かつて一定の所得がある人は郊外に戸建てを求める傾向が強かったが、近年は共働き世帯が増える中で、通勤に時間をかけるよりも自宅と職場が近い「職住近接」がトレンド。若林氏はマンション供給の高まりとファミリー層のニーズが合致した結果が、中央区での人口増につながったとみる。

隣接の北区では再開発が進み、天王寺エリアも「あべのハルカス」などの誕生で大きく変わった。若林氏は「どちらにもアクセスしやすい中央区の魅力が高まっている」と話す。大阪では、2025年大阪・関西万博の開催も控えており、都心での人口増加は今後も続くとみられるという。

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