マーライオンの目

コロナ禍でマイカーは夢に?

最近、周りのシンガポール人の間で自動車購入をめぐる費用の高騰が話題となっている。「もう車の買い替えは諦めようか」と記者が住むマンションの大家さんはぼやいた。

シンガポールはそもそも自動車購入に掛かる諸経費が高い。国土面積が東京23区ほどと狭く、渋滞抑止などのため、車体の総台数を制限していることが背景にある。車体とは別に「車両購入権」や登録費などが掛かり、日本車を購入する場合、総費用は「時期によって違うが日本の4倍以上」(自動車業界関係者)に膨れ上がる。

問題は購入権だ。価格は購入希望者の入札で決まるのだが、新型コロナウイルス流行中も上昇を続けている。今月17日の入札では小型車(排気量1600cc以下)の購入権は5万5001シンガポールドル(約450万円)。1年で4割近く上昇した。在宅勤務などで出かける機会が減り、落札額が下振れするかと思いきや、実態は逆だ。

購入権高騰の理由についてはさまざまな分析があるが、地元メディア、チャンネル・ニュース・アジアは海外旅行に制限がある中、「地元で(車という)おもちゃを買うことにつながっている」との見方を紹介した。コロナ禍の意外な余波といえるが、シンガポールの富裕層の厚さも垣間見た気分だ。(森浩)