勇者の物語

ブルーサンダー オリックス「悪夢」の1イニング 虎番疾風録番外編359

4番門田とともにブルーサンダー打線を引っ張ったブーマー =神戸グリーンスタジアム(現・ほっともっとフィールド神戸)
4番門田とともにブルーサンダー打線を引っ張ったブーマー =神戸グリーンスタジアム(現・ほっともっとフィールド神戸)

■勇者の物語(358)

門田が加入した平成元年の新生オリックス打線は「ブルーサンダー打線」と呼ばれた。サンダーは「雷」や「雷鳴」の意味―があり、その破壊力の凄まじいこと。

4番の門田が打率3割5厘、33本塁打、93打点をマークすれば、3番ブーマーは打率3割2分2厘、40本塁打、124打点で「首位打者」と「打点王」の2冠を獲得。1番の松永も「最高出塁率」(4割3分1厘)を記録した。

ブーマーの5試合連続ホーマーなどで開幕から8連勝―と飛び出したオリックスは6月を終わって、2位の近鉄に8・5ゲーム差をつける独走態勢。だが、7、8月にスタミナ切れで失速。後半は近鉄、西武との激しい三つどもえとなった。

10月12日、最下位ロッテとのダブルヘッダーに連勝し首位の近鉄にゲーム差なしの1厘差に迫ったオリックスは13日、ロッテとの最終戦を迎えた。近鉄とともに残り試合は「2」。

ここまでロッテ戦は17勝7敗1分け。ダブルヘッダーでは24得点して連勝。負けるはずがない―とみな思っていた。

◇10月13日 川崎球場

オリックス 110 100 000=3

ロッテ 000 050 00×=5

(勝)園川7勝12敗1S 〔敗〕佐藤義9勝13敗 (S)伊良部2敗9S

(本)ブーマー(38)(39)(園川)藤井(30)(園川)愛甲⑬(佐藤義)

試合はブーマーの2打席連続ホーマー、藤井の3試合連続本塁打などで四回を終わって3―0。ところが五回、それまでロッテ打線をノーヒットに抑えていた先発の佐藤義が突如崩れた。

佐藤健に二塁打を許し、2死から横田に左前タイムリー。さらに西村を四球で歩かせると、愛甲に左翼へ痛恨の逆転3ラン。急遽(きゅうきょ)、リリーフに立った酒井も打たれて5失点。ロッテはこの回以外はノーヒット。オリックスにとってはまさに〝悪夢〟の1イニングとなった。

これで試合のなかった近鉄の優勝マジックは「1」。上田監督はガックリと肩を落とした。

「途中までは勝ちパターンやったのに…。この球場は狭い。怖いな。絶望的? う~ん、やっぱり、近鉄が絶対的に有利になった」

最後の最後まであきらめない姿勢が、かえって痛々しかった。(敬称略)

■勇者の物語(360)

会員限定記事会員サービス詳細