主張

みずほ首脳の辞任 機能不全の悪循環を絶て

みずほ銀行でシステム障害が頻発したことに対して、金融庁が同行と、親会社のみずほフィナンシャルグループ(FG)に今年2度目の業務改善命令を出した。

これを受けてみずほFGは坂井辰史社長と、みずほ銀の藤原弘治頭取らが来春に引責辞任すると発表した。みずほFGの佐藤康博会長も退任し、みずほ首脳が一斉に退くことになる。

2~9月に8回のシステム障害を起こし、決済を担う社会インフラとしての役割を果たせなかった事実は重い。金融庁が処分理由として断じるまでもなく、経営陣の責任は極めて重大だ。辞任するのは当然である。

無論、これだけでは問題の抜本的な解決にはなるまい。通底するのは企業統治(ガバナンス)の機能不全であり、縦割り意識や事なかれ主義がはびこる企業風土である。この病巣を取り除かない限りは失墜した信頼の回復も遠い。

障害が連続するのはシステム自体の問題ではなく、これを運用するための適切な措置を講じてこなかったことが大きい。

金融庁が問題視したのは、新基幹システム「MINORI(みのり)」が令和元年に本格稼働した後、安定稼働に必要な人員や保守管理費を大幅削減したことだ。コスト削減を優先し、システム上のリスクを軽視した。社外取締役を含む取締役会も業務実態を十分にチェックしなかった。これでは障害が相次ぐのも当たり前だ。

金融庁が9月に最初の業務改善命令を出した直後の障害では、マネーロンダリング(資金洗浄)を防ぐ外為法上の確認手続きが不十分で、財務省から是正措置命令も受けた。コンプライアンス(法令順守)まで徹底されないようでは国際金融システムの一翼を担う適格性さえ疑われよう。

金融庁は今回、みずほの企業風土について「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない」と指摘した。かねて問題視されてきた体質だ。平成14、23年にも大規模なシステム障害を起こし、その度に対策を講じたが、こうした風土は改まっていない。

金融庁が「自浄作用が十分に機能しているとは認められない」とした点を重く受け止めるべきである。うわべで「今度こそ」と繰り返しても説得力はない。組織のありようを根本から改革する覚悟と行動を明確に示すべきである。