暮らしに役立つ新技術も 札幌でビジネスEXPO

注目を集めた感染対策用クリーンルーム。小さく収納することで容易に運べる=11日、札幌市で開かれた「第35回ビジネスEXPO」(坂本隆浩撮影)
注目を集めた感染対策用クリーンルーム。小さく収納することで容易に運べる=11日、札幌市で開かれた「第35回ビジネスEXPO」(坂本隆浩撮影)

収納時は直径83センチ、厚さ14センチ、重さ約9キロ。松田順治社長(74)は「保管スペースも取らず短時間で設置可能。避難所などで隔離が必要な人がいてもこのクリーンルームで個室環境が整えられる」と語る。

テントは天井高さ1・8メートル、奥行きと幅2・1メートルで簡易ベッドを置くことも可能。内閣府や消防庁、厚生労働省が昨年4月に示した「避難所における新型コロナウイルス感染症へのさらなる対応」にも適応する。

販売価格は税込み22万円。松田社長は「自治体や医療機関から複数の問い合わせがある」といい、感染症対策の備蓄品としても関心が高い。

大学の研究にも高い関心

道内の主要大学も研究実績などを発表している。このうち北海道科学大学の寒地先端材料研究所の展示ブースは混雑が続いた。

同研究所が発表したのは風力発電の効率化に関する技術だ。松田寿所長(60)によると、風車のブレード(羽根)を効率よく回転させるために重要なのが気流で、研究ではその流れを整える「プラズマ」に着目。民間企業と共同で厚さ約1ミリの細長いシート状の「プラズマアクチュエータ」(流体制御デバイス)を開発し、実際の大型風車や風洞による実証実験で数%の効率化を確認。その中で「雪をはじく」という別の効果も副次的に明らかになった。「この研究で降雪流を制御できることが初めて示された。ブレードへの着雪を防ぐ効果がある」という。

研究が進めば自動車のタイヤハウス内の雪詰まりや電車ドア部の堆雪被害など、生活に身近なことへ応用できる可能性もあるという。さらなる研究に向けて風力発電事業者への協力支援も呼びかけている。(坂本隆浩)

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