主張

ICPO台湾排除 中国の専横阻止に連帯を

中国国旗(ロイター)
中国国旗(ロイター)

世界地図に、犯罪に対処する国際連携の空白域を作ってはならないはずだ。トルコのイスタンブールで開催された国際刑事警察機構(ICPO)の総会に、台湾が招待されなかった。台湾は、オブザーバーとしての参加を求めていた。

日米やカナダなど30カ国の国会議員らが台湾参加への支持を表明していたが、中国と、中国を支持する国々の反対により阻止された。同様に台湾のオブザーバー参加を拒み続けている世界保健機関(WHO)と同じ構図である。

世界が新型コロナウイルス禍に苦しむ中で保健衛生上の空白域を作ることは愚の骨頂であり、先進7カ国(G7)外相会合が台湾参加に支持を表明したが、WHOはこれらの声を無視し、反対する中国の主張を受け入れた。

驚くのはICPOでもWHOでも、中国の専横を支える国数の多さである。アフリカ諸国などへの経済協力を背景に中国は多数国の支持を得ており、1国1票の原則から、G7が結束しても押さえ込めない現実がそこにある。

ICPOは25日、新たな執行委員に、中国公安省の胡彬郴(こ・ひんちん)副局長を選出した。米欧や日本の国会議員らが、中国が人権活動家やウイグル人の追跡にICPOの国際手配を悪用する可能性があるとして「深い懸念」を表明していたにもかかわらず、である。

中国は2018年、中国出身のICPO総裁、孟宏偉(もう・こうい)氏を帰国時に逮捕し、収賄罪で懲役13年6月の実刑判決を下した。中国は、ドイツに亡命した「世界ウイグル会議」のドルクン・エイサ現総裁に対して国際手配を出していたが、ICPOは内部手続きでこの手配を取り消した。孟氏の逮捕には、組織を意のままに動かせないことが中国当局の怒りを買ったとの見方がある。

今後も、香港国家安全維持法など国内法の恣意(しい)的運用で、亡命活動家らへの国際手配が乱用される可能性がある。中国出身の新たな執行委員は母国の重圧を背に負いながら執務を行うことになる。

執行委員には、加盟国(昨年春時点で194カ国)が各1票の投票権を持ち、単純多数を得た候補が選出される。これを民主主義対専制主義の陣営の争いと位置付けるなら、劣勢にある民主主義の側がいかに連帯の輪を広げられるか方策を練るべきだ。