装丁入魂

「都市デザイン 101のアイデア」 デザイナー・戸塚泰雄さん 編集者視点でメリハリ

「都市デザイン 101のアイデア」(フィルムアート社)
「都市デザイン 101のアイデア」(フィルムアート社)

絵本をのぞけば、国内で刊行される書籍の大半は縦(天地)の方が長い。「都市デザイン 101のアイデア」は縦127ミリ×横188ミリの四六判横。左ページは手書きのイラスト、右ページで説明する見開き構成は余白十分で、文章がわずか3行のページもあるぜいたくさだ。

2018年以降に米国で刊行された「プロダクトデザイン」「広告・宣伝を学ぶ」とあわせた〝101のアイデア〟シリーズが今秋、日本で立て続けに翻訳された。マシュー・フレデリック氏らの原書を、杉山まどか氏らが和訳。イラストは米国版をそのまま利用するので、あとは配置するだけ…とそれほど簡単ではない。

「以前出た101シリーズと並べて置く読者もいるだろうし、原書も踏襲し横長サイズにしようと思った。上製本(ハードカバー)の原書の質感を代え並製にして差別化を図った」と話すのはデザイナーの戸塚泰雄さん(44)。ただ「横長の書籍を作る場合は紙質が限られるんです」という困難も。縦長の四六判で用いられる用紙で横長書籍を印刷しようとすると、紙の裁断時に無駄な部分が多く出てしまうという。そのなかで手触りがよく、印刷した際に発色がよいGAバガスという紙を選択、効率よい製本につなげた。

〝101〟には入門書の意味がある。「初めて学ぶ人、学び直したい人に届いてほしい」という編集者の要望には、表紙で工夫した。「翻訳書であることを認知してもらうため、原書のタイトルを日本語書名より大きくした。代わりに著者名を控えめにしてメリハリをつけた」。宣伝の帯をかけるスペースが横長の101シリーズにはないため、表紙カバーに「見慣れた街の見方が変わる!」など絶妙なサイズで一文を入れ告知した。

大学卒業後、アルバイトとして2年間、編集に携わった音楽雑誌でデザインに興味を持つようになった戸塚さんは「見せ方を考えるのがデザイナーという名の編集者」と考える。年に1冊、音楽や映画に関する雑誌を作る一方、平成24年からはnu名義で「10年メモ」を発行。2022-2032年版が近日、発売される。たとえば11月27日のできごとを左側1ページに10年分書ける仕組みで、右ページは続きを書いても、別の用途に使ってもいい。書きためたメモやアイデアは、自分史になりそうだ。

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