「原油価格の安定は、新型コロナからの経済回復を実現するうえで重要だ」。政府は24日、原油価格高騰を抑えるため国家備蓄からの石油放出を表明し、岸田文雄首相はこう訴えた。とはいえ、その後も石油製品に目立った値下がりはみられず、家計を直撃し続けている。
▼背景には、欧米主導の脱炭素の流れによる石油・天然ガス開発の停滞がある。バイデン米大統領らの再三の増産要求を退けてきた産油国側には、高値を維持したい思惑もあろう。テレビをつけると「脱炭素、脱炭素」とかしましいが、エネルギーの安定供給は大丈夫かと不安になる。
▼10日には気象庁が南米ペルー沖で海面水温が低い状態が続き、世界的な異常気象の原因とされる「ラニーニャ現象」が発生したとみられると発表した。本格的な冬を前に、日本海側を中心とした大雪や、それに伴う大規模停電が心配である。