辺野古軟弱地盤 県の不承認に政府対抗へ

米軍普天間飛行場の移設先、沖縄県名護市辺野古沿岸部。右は軟弱地盤が存在する海域=20日
米軍普天間飛行場の移設先、沖縄県名護市辺野古沿岸部。右は軟弱地盤が存在する海域=20日

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設は、同県の玉城デニー知事が工事区域の軟弱地盤を改良するための設計変更を承認しないと発表したことで新たな段階に入った。辺野古移設に反対する玉城氏の不承認は政府にとって織り込み済みだったが、玉城氏が知事の座にとどまれば、市街地に囲まれた普天間飛行場の危険性除去はさらに遅れかねない。政府は来年秋の沖縄県知事選を前に改良工事の着手にめどをつけたい考えだ。

政府が軟弱地盤改良の設計変更を申請したのは昨年4月。この間、玉城氏は新型コロナウイルス対策などを理由として審査手続きを遅らせた。防衛省が当初5年と見積もっていた工期は改良工事に伴い9年3カ月に延びたが、県が結論を出すために要した期間は1年7カ月で、さらに遅れが生じたことになる。

「知事選までに決着をつける」

政府高官は改良工事着手に向け、こう意気込む。政府は行政不服審査法に基づく国土交通相への審査請求や、国交相による是正勧告・指示などで県の判断を覆すことを目指す。来年9月には県知事の任期満了を迎えるため、知事選の結果にかかわらず辺野古移設が進む状態を作り出す意向だ。

政府が辺野古移設にこだわるのは、中国の脅威が増す中で普天間飛行場を使用する米海兵隊の重要性が高まっているからだ。海兵隊は有事の際に小規模なミサイル部隊が分散展開する作戦構想を進めており、その拠点となり得る飛行場はこれまで以上に必要不可欠となっている。平成21年に発足した民主党政権による移設先の見直し作業が失敗と混乱に終わったことで、辺野古移設は「唯一の解決策」となった。

ただ、軟弱地盤の改良工事にこぎ着けたとしても、知事選で玉城氏が再選されれば移設工事はさらに遅れる公算が大きい。防衛省関係者は「大規模工事を進める過程では設計変更は何回もしなければならない。そのたびに知事が工事の遅延工作を行えば、その分、普天間の危険性は放置されることになる」と危ぶむ。(杉本康士)

沖縄県知事、設計変更承認せずと表明 辺野古移設