【北京=三塚聖平】中国の王毅(おう・き)国務委員兼外相は26日、バイデン米政権が来月にオンライン形式で開く「民主主義サミット」について、「一つの国の基準に基づいて線引きを行い、分裂と対立を作り出す」と非難した。中国を念頭に置いた新たな連携の枠組みになることを警戒している。
王氏は、オンライン形式で開いたロシアのラブロフ外相、インドのジャイシャンカル外相との3者会談で発言した。ロシアは中国と同じく、民主主義サミットに招かれていないが、インドは招待されている。
王氏は、米国に対して「世界の指導者を気取り、各国に米国を見習うよう求めている」と批判。その上で「中露印3カ国は、それぞれの国情に合致した発展の道を進み、世界に正しい『民主主義観』を打ち立てる責任がある」と述べた。
王氏は、今月24日にイランのアブドラヒアン外相とオンライン会談を行った際にも、民主主義サミットについて「イデオロギーで線引きをして陣営間の対立を扇動し、他国に対して米国式の改造を進めるものだ」と警戒をあらわにした。習近平政権は、米国が同サミットで民主主義国を結束させ、中国の対抗軸にしようとしていると受け止める。
米国に「専制主義」などと批判される中、習政権は「中国式民主」があると主張。王氏は、ロシア、インドとの会談で「民主の実践は国情によって異なり、一つの型や規格しかないということはありえない」と米国を牽制(けんせい)した。