盗難が多発する電動自転車バッテリーの守り方

電動アシスト自転車のバッテリーが盗まれる被害が全国で相次いでいる。定期的な交換を要するバッテリーはニーズが高く、フリーマーケットアプリ上では1個数千~数万円での転売が目立つ。昨年来の新型コロナウイルス禍で、「密」を避けられる移動手段として普及したことも影響しているとみられる。警察幹部は「帰宅時は取り外し、屋内で保管するなど、『狙われているかも』といった意識を持って」と呼び掛けている。

フリマアプリで転売

大阪府東大阪市の住宅街で8月6日夜、民家にとめられた電動アシスト自転車に近づく不審な2人組がいた。翌朝、住人の30代女性が自転車のバッテリー(2万円相当)が抜き取られているのを発見。女性から被害申告を受け、大阪府警捜査3課などは現場付近の防犯カメラ映像を精査して2人組を特定し、10月に窃盗容疑で逮捕した。

府警によると、逮捕されたのは、東大阪市の塗装工の男(41)と妻(26)。塗装工の稼ぎだけでは十分な生活費を捻出できず、自身の電動アシスト自転車のバッテリーをフリマアプリに出品したところ、高額で売れたため、夫婦でバッテリー盗を繰り返すようになったという。

令和元年8月以降、フリマアプリ上に2人の名前で登録されたアカウントから、少なくとも30台分のバッテリーが約5千~約2万円で出品されていた。自宅の家宅捜索では5台分のバッテリーを押収。2人は容疑を認め、「その日暮らしの生活費を稼ぐために、夫婦でバッテリーを盗んでメルカリに転売していた」と供述した。府警は11月9日に窃盗容疑で夫婦を再逮捕して余罪を調べている。

店側では、自転車本体とバッテリーをつなぎ、盗難防止対策をとるよう呼びかけている=11月19日午後、大阪市住吉区
店側では、自転車本体とバッテリーをつなぎ、盗難防止対策をとるよう呼びかけている=11月19日午後、大阪市住吉区

全国で被害相次ぐ

府内では今年9月末までに、昨年同期比で約4倍となる約320件の電動アシスト自転車のバッテリー盗が発生。すでに昨年1年間の約130件を大幅に上回った。一方、警視庁は平成28年~今年9月までに約890件のバッテリー盗難事案を認知。今年9月時点では昨年同期比で2・2倍となる約240件に上った。犯行手口は、施錠されていない電動アシスト自転車が狙われたり、鍵が壊されたりとさまざまだ。

背景には電動アシスト自転車の急速な普及がある。経済産業省によると、22年に約34万4千台だった販売台数は、昨年は自転車全体(約162万6千台)の約半数を占める約73万8千台に増加。販売単価も19年の4・9万円から、昨年は8・4万円に上昇した。近年はコロナ禍で「密」を避けられる移動手段として注目され、通勤・通学に利用する人が増えたという。

電動アシスト自転車のバッテリーは車体に鍵をかけて固定されており、充電の際に解錠して取り外す。使用頻度によるが、バッテリーの一般的な寿命は10年以内で、買い替えると5万円程度かかるため、新品の半値以下で購入できるフリマアプリなどを利用するユーザーも多い。こうしたニーズの高さから、バッテリー盗が多発しているとみられる。

需要増す防犯グッズ

バッテリー盗が急増する中、所有者には適切な防犯対策が求められる。

大阪市住吉区の「まちの自転車店リコあびこ店」では今年10月以降、客からバッテリーの盗難防止策に関する問い合わせが急増。バッテリーと自転車本体をつなぐ「バッテリーロック」が完売するなど防犯グッズが人気を集めている。

店長の中井良さん(37)は「バッテリーの需要は高まっており、今後も窃盗犯が増えるかもしれない。店頭や店の会員制交流サイト(SNS)などで注意を呼び掛けていきたい」と語る。府警幹部も「面倒だとは思うが、確実な施錠に加え、帰宅時はバッテリーを取り外して屋内で保管するなど、『狙われているかも』といった意識を持ってほしい」と警鐘を鳴らしている。(小松大騎、小川恵理子)

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