〈独自〉福島第1処理水放出 東電、月内にも海洋調査開始へ

処理水タンクが並ぶ東京電力福島第1原発(本社ヘリから、川口良介撮影)
処理水タンクが並ぶ東京電力福島第1原発(本社ヘリから、川口良介撮影)

東京電力福島第1原発の汚染水を浄化した処理水の海洋放出について、東電が海底トンネルの敷設に向けた海洋調査を月内にも開始する方針を固めたことが25日、分かった。調査完了後に敷設工事に取りかかり、令和5年春ごろの放出開始を目指す。関係者によると、東電側は当初、9月の調査開始を見込んでいたが、周辺自治体の合意形成などが難航し延期を余儀なくされていた。

東電は8月、海底トンネルを整備して配管を通し、同原発の沖合約1キロの海中に排水する工程案を発表。今回の海底調査では、不発弾など危険物の確認を含めた海底の状況を把握するための磁気探査のほか、必要に応じて潜水調査も行う。作業船を使った海底ボーリング調査も実施する予定。

海底トンネルは直径2・5メートル程度を想定しており、同原発5、6号機付近から海底の岩盤をくりぬいて配管を通す。原発東側の直近の海中に排水する案も検討していたが、処理水に含まれる放射性物質のトリチウムをより拡散できる沖合を選択した。沖合約1キロの水域は漁業権が設定されておらず、風評被害を懸念する漁業関係者の反発も少ないと判断したとみられる。

今月17日には、放出による周辺海域での被曝(ひばく)線量は国や国際機関の安全基準を大幅に下回り、放射線が周辺の住民や環境に与える影響は「極めて軽微」とする評価結果を発表している。

処理水の放出は今年4月、当時の菅義偉(すがよしひで)政権で決定。10月に同原発を視察した岸田文雄首相は「先送りすることができない、大変重要な課題だ」との認識を示していた。