厚生労働省は、アスベスト(石綿)による建設労働者らの健康被害に対する給付金として1730億円を盛り込んだ。国などに損害賠償を求める訴訟を起こしていない人を対象とした支給制度を創設する法律が6月に成立したのを受けた対応。同省所管の独立行政法人「労働者健康安全機構」に基金を設ける。
法律によると、有症者や療養中の人の給付額は病態に応じて550万~1150万円。亡くなった人は病状により1200万~1300万円となる。受給後に症状が悪化した場合、進行後の病態で得られる給付額との差額を追加で受けられる。
建設労働者の石綿被害を巡っては、最高裁が5月に国の賠償責任を認める初の統一判断を示した。政府は和解金支払いや、訴訟外の被害者への給付金制度創設などを盛り込んだ和解内容で原告側と基本合意した。