朝晴れエッセー

愛しき祖父母・11月26日

祖母が膝に人工関節を入れるため、2週間入院した。その間、一人暮らしとなった祖父。元来、一匹狼な性格の祖父は当然ながら一人暮らしを謳歌(おうか)すると思っていた。

これまでも祖母の入院は幾度かあったが、その度にDIYや外食めぐりを楽しんでいたからである。

入院直前になり、祖父にLINEをパソコンに入れてくれと頼まれた。

祖母がスマホを購入したときも、家族LINEをつくったときも、不要だとバッサリ切り捨て、ガラケーすら持たずにいる祖父の言葉に驚いた。

コロナのせいで面会ができないからといって安易に手を出す性格ではない。祖父の気が変わらないうちにとインストールして簡単に使い方を教えたところ、すぐにメッセージ機能を使いこなすようになった。

祖母が入院してからの家族LINEは、付き合ったばかりのカップルかというような甘い言葉が飛び交った。

「あなたの声が聞けるのが何よりの励みよ」「もうちょっとで退院だね」「あとで電話するね」

…いったい何を見せられているのだろうか。独身の孫への当て付けだろうか。いや、ほほ笑ましく夫婦仲が良くてなによりである。

胸焼けがしそうなやりとりを見守りつつ迎えた退院。祖母が退院した途端、動かなくなった家族LINEに、いつまでもつかない祖父の既読。

ともに家にいるのだから不要なのだろうが、あの甘ったるく笑えるやりとりが見られないとなると、なんとも寂しいものである。

岩井七海 25 兵庫県尼崎市