映画監督の河瀬直美さん(52)が25日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の親善大使に就任した。パリのユネスコ本部で、アズレ事務局長が委嘱書を手渡した。
河瀬さんは現在、ユネスコと連携し、故郷の奈良県にアフリカから若手女性監督を招いてワークショップを開く計画を進めている。親善大使就任を前にパリで記者会見し、「自然と共存し、自然から生きる力をもらう点で、アフリカ人は日本人と似ている。彼女たちが日本に来て、日本人と差異を乗り越えながら、何かが生まれるはず。そんな交流を進めたい」と抱負を語った。
日本人のユネスコ親善大使は、日本画家の平山郁夫さん、茶道家の千玄室さんらに続いて5人目となる。「女性に焦点を当てた映画を制作し、文化産業で男女平等の推進に貢献した」ことが、任命の理由になった。
河瀬さんは2007年、奈良県を舞台とした作品「殯の森」で仏カンヌ国際映画祭のグランプリを受賞。「萌の朱雀」「あん」などの代表作がある。今夏の東京五輪では、公式記録映画の監督を務めた。(パリ 三井美奈)