政府が追加経済対策の裏付けとして編成する令和3年度補正予算案の全容が25日、分かった。経済対策関連の追加歳出は31兆5627億円で、地方交付税の追加分などを加えた一般会計の歳出総額は補正予算として過去最大の35兆9895億円に上る。ただ、同日の経済財政諮問会議では経済対策に盛り込んだ基金の運用方法に注文が付くなど、予算の無駄遣いを懸念する声が早くも上がっている。
補正予算案は26日に閣議決定する。財源には企業業績の回復などを反映した3年度の税収上振れ分6兆4320億円や、2年度予算の剰余金6兆1479億円を計上した。不足する分の穴埋めとして、国の借金に当たる国債を新たに22兆580億円発行する。
3年度の新規国債発行額は、当初予算段階の43兆5970億円と合わせて65兆円を超える規模に膨らむ。コロナ対応で発行が増えた2年度の108兆5539億円よりは少ないが、リーマン・ショック後の平成21年度の51兆9550億円を上回って過去2番目の水準になる。
令和3年度末の普通国債発行残高は補正予算案編成前でも990兆円に達する見込みだったが、今回の追加発行で1千兆円を突破する。
一方、財政政策が硬直化しがちな「単年度主義の弊害」を打破したい岸田文雄首相の意向を受け、経済対策では複数年度で運用する基金が数多く盛り込まれ、歳出拡大の一因となった。
ただ、25日に開かれた経済財政諮問会議では、民間議員から基金について「事業プロセスや成果に対する説明責任と透明性を高める」よう求める声が上がった。投資先の選定や運用実績のチェックが甘くなり、想定した成果が上がらないことが多いことを踏まえたもので、今後は費用対効果の分析が求められそうだ。