ぴんとこない流行語 大賞は「ビッグボス」で 鹿間孝一

日本ハム監督の就任会見に臨んだ新庄剛志氏。服装も話題になった=11月4日、札幌市(蔵賢斗撮影)
日本ハム監督の就任会見に臨んだ新庄剛志氏。服装も話題になった=11月4日、札幌市(蔵賢斗撮影)

年末恒例の「2021ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされた30語をながめて、首をかしげた。聞いたことのない言葉が多いのである。流行語というからには周知されているのが条件のはずで、知らないのは自分だけかと焦った。

五十音順でトップにある「イカゲーム」がまずわからない。賞金に目がくらんだ参加者たちが奇妙な死のゲームに巻き込まれる韓国のテレビシリーズで、世界的なブームというが、見たことがない。

「NFT」も知らない。「非代替性トークンと訳され、ブロックチェーンと呼ばれるデジタル台帳上のデータの単位のことを指す」と説明されても、ちんぷんかんぷんである。

同じアルファベットの略語でも「SDGs」は「持続可能な開発目標」を意味し、英国で開かれたCOP26(国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議)でもよく耳にした。しかし、数年前から使われており、今年の新語・流行語といえるかどうか。

東京五輪・パラリンピックで登場した言葉が多い。「13歳、真夏の大冒険」は、スケートボードの女子ストリートで優勝した西矢椛(もみじ)選手を、テレビのアナウンサーが表現した。流行語というより名実況として記憶に残る。メダリストたちの得意技である「チャタンヤラクーサンクー」「チキータ」「スギムライジング」は、覚えている人は少ないだろう。

昨年は新型コロナウイルスが最大のニュースで、「3密」が大賞だった。今年も「人流」「変異株」「黙食/マスク会食」などがノミネートされたが、2年連続ではインパクトがない。

こうしてみると、この1年を象徴して、誰もが文句なしに大賞という言葉がない。多様性が叫ばれる時代だから、関心のありようもさまざまで、人口に膾炙(かいしゃ)した流行語は出にくいのかもしれない。

それと今年は、政治がらみの言葉がない。過去には「小泉劇場」や「政権交代」が大賞になり、「ダメよ~ダメダメ」と「集団的自衛権」を意図的に並べてダブル大賞にした年もあった。流行語の一つも生み出せないほど、政治の存在感が希薄だったのだ。

残るはメジャーリーグで大活躍した大谷翔平選手の「ショータイム」「リアル二刀流」だが、ノミネート後に有力候補が現れた。日本ハムの新庄剛志新監督が就任会見で語った「ビッグボス」。やっぱり新庄クンは話題づくりがうまい。

【プロフィル】しかま・こういち 昭和26年生まれ。社会部遊軍記者が長く、社会部長、編集長、日本工業新聞社専務などを歴任。特別記者兼論説委員として8年7カ月にわたって夕刊1面コラム「湊町365」(産経ニュースでは「浪速風」)を執筆した。