鑑賞眼

シアターコクーン「パ・ラパパンパン」 笑い満載の舞台

舞台「パ・ラパパンパン」(細野晋司撮影)
舞台「パ・ラパパンパン」(細野晋司撮影)

シアターコクーンの芸術監督、松尾スズキが新たに演出を手掛けたのは、藤本有紀の脚本によるミステリーコメディー。タイトルは、劇中でも度々歌われる「リトル・ドラマー・ボーイ」の歌詞に出てくる「パ・ラパパンパン」というドラムの擬音。

主人公は鳴かず飛ばずのティーン向け小説家(松たか子)。再起を図るため「本格ミステリーを書く」と宣言し、担当編集者(神木隆之介)は仕方なく構想を手伝うことに。

英国の文豪、チャールズ・ディケンズの小説「クリスマス・キャロル」の世界を舞台にし、そこに登場する極悪非道の守銭奴、スクルージ(小日向文世)が殺されるというミステリーを考え始める。舞台上では、小説家が描くミステリーが劇中劇として再現される。

そして、小説家がやっとミステリーを書き終え、ワインを飲みながらくつろいでいた瞬間、「彼は犯人じゃない!」と構想のミスに気づき、書き直しをしようとしていたとき、現実でも事件が起きる…。

次から次へと休む暇なく場面転換。その疾走感に乗せられているうちにあっという間に終盤を迎える。少し毒の交じった風刺も織り交ぜながら、随所で笑わせるコメディー・センスはさすが。コロナ禍で疲弊した心を解き放つには、打って付けの舞台だ。

シリアスな役だけでなく、コメディエンヌとしても最高のパフォーマンスを見せた松たか子。女優として幅広さを感じさせた。劇中、歌も披露。アカデミー賞授賞式で世界が感動したあの美声を生で聞けて、何だか得した気分で劇場を後にした。

東京公演は11月3~28日、東京都渋谷区のBunkamuraシアターコクーン。大阪公演は12月4~12日、大阪市中央区の森ノ宮ピロティホール。(水沼啓子)

公演評「鑑賞眼」は毎週木曜日正午にアップします。

舞台「パ・ラパパンパン」(細野晋司撮影)
舞台「パ・ラパパンパン」(細野晋司撮影)